ゲデス経済相、ダボス会議でブラジルのDX推進を強調

(ブラジル)

米州課

2022年05月26日

パウロ・ゲデス経済相は5月24日、スイスで開催されたダボス会議の「世界の経済リーダーによる非公式セッション(IGWEL)~景気後退の防止セッション」に登壇し、ブラジルは、サービスにおけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進、規制の近代化、国営企業民営化による諸外国企業の投資誘致を進めている、と強調した(5月24日および25日付経済省公式ウェブサイト)。経済省によれば、ゲデス大臣は同セッションにおいて、他の参加者と共に、世界の景気回復に向け、また国際社会が直面する課題解決などについて積極的に意見を交わした。

ゲデス大臣はその他、ドイツの製薬会社メルクの最高経営責任者(CEO)や、アリババグループのマイケル・エバンス社長などと会合を行った。経済省によれば、両社はブラジルでのビジネス拡大に高い関心を示している。メルクは、保健省傘下のオズワルドクルス財団と共に新型コロナウイルス感染症向けの新薬を、共同で開発および生産する。アリババグループのエバンス社長は、自社の事業拡大においてブラジルでのビジネスを優先すると述べた(5月24日付経済省公式ウェブサイト)。

ブラジルでは2020年4月、「デジタル政府戦略2020-2022」の実施について定めた政令10.332号が施行された(2020年5月7日記事参照)。同戦略では、2022年までに国内の全ての公共サービスを電子化することなどを目標に掲げており、電子化による効率化や人件費削減に加えて、ビジネス環境改善にもつなげたい狙いがある。経済省は2022年1月31日、同戦略の成果として、「目標としていた4,900の公共サービスのデジタル化の内、73%に相当する3,600の公共サービスがデジタル化された」と、その成果を強調した。

政府はまた、中銀が主導する即時決済システム「ピックス(PIX)」が、国内に浸透していることも成果として挙げている。PIXは、異なる金融機関間での送金や振り込み等を迅速かつ低コストで行える決裁プラットフォーム(2020年12月1日記事参照)。個人が使用する場合は原則として手数料がかからず、また、利用者は口座情報を相手方に教える必要がない。スマートフォンなどを通じて24時間365日利用できるため、2020年11月の運用開始以降、急速に利用者数が増えた。中銀によれば、2022年4月時点で国内のPIX利用者は1億2,655万5,605人(うち法人利用が900万509人、個人利用が1億1,755万5,096人)。ブラジルの人口は2億1,161万人。

(注)人口(2020年予測値)は2億1,161万人。出所は、ブラジル地理統計院(IBGE)「ブラジル概況・基本統計」参照。

(辻本希世)

(ブラジル)

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