カナダ保健省、新型コロナ治療薬ソトロビマブはオミクロン亜種「BA.2」に効果低いと見解

(カナダ、米国)

米州課

2022年04月19日

カナダ保健省は4月14日、英国製薬大手グラクソ・スミスクラインと米国製薬会社ビール・バイオテクノロジーが共同開発したモノクローナル抗体治療薬のソトロビマブが新型コロナウイルスのオミクロン型変異株の亜種「BA.2」に対する有効性を維持することは困難とする見解を示し、国内医療機関に対して同治療薬の使用対象を限定するよう注意喚起した。

 

発表は4月14日付の「リコールおよび安全警告」によるもので、外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます保健省は最新の実験データに基づく見解とした。加えて、医療機関は同薬を使用する前に地域で流行中の変異株ウイルスの型や患者個々の暴露を考慮に入れる必要があると警告した。他方、オミクロン亜種の「BA.1」「BA.1.1」に対しては、引き続き有効性が確認されたとしている。

ソトロビマブは、カナダでは2021年7月に持病などから新型コロナウイルス感染症の重症化の高リスク者(12歳以上、体重40キロ以上)に対して、感染後の症状が軽度から中等度の場合の治療に使用することが承認された。入院に至った場合や酸素療法を必要とする重症患者への使用は許可されていない。

米国では米食品医薬品局(FDA)が2021年5月にソトロビマブの緊急使用許可を出したが、各地で「BA.1」に代わって「BA.2」が主流となるにつれ、使用を認めない州が増え、4月5日には米国の全ての州・準州を対象に緊急使用許可が取り消された。しかし、米国で使用されなくなった以降も、カナダ国内では引き続き使用されていたため、主流株のBA.2への置き換わりが進む中、懸念の声が上がっていた。

なお、保健省は4月14日、新型コロナウイルス予防薬として英国アストラゼネカ製のエブシェルド(チキサゲビマブおよびシルガビマブ)を承認したことも発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。エブシェルドは「BA.2」に対する中和活性を保持することが実験データから明らかになっているとしている(2022年4月15日記事参照)。

(高山さわ)

(カナダ、米国)

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