レベル4の自動運転トラック走行実現に向け、新規プロジェクト発足

(ドイツ)

ミュンヘン発

2022年04月07日

ドイツのフォルクスワーゲン(VW)の商用車部門トレイトンに属するMANトラック&バスは3月29日、2020年代半ばからレベル4(注)の自動運転トラックを公道で走行させるための研究開発プロジェクトに参加することを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。プロジェクトの名称は「ATLAS-L4(Automatisierter Transport zwischen Logistikzentren auf Schnellstrassen im Level 4)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」。物流面の安全性や柔軟性の向上と、輸送の効率化に向けてドイツの自動車部品メーカーのボッシュ、レオニ、クノールブレムゼが参画する。その他のパートナー企業・機関として、ミュンヘン工科大学とブラウンシュバイク工科大学、フラウンホーファー研究機構、認証機関のテュフ・ズード、連邦政府が100%株主の高速道路運営会社Die Autobahn GmbH des Bundes 、ソフトウエア開発を行う新興企業フェアンライドなども参加し、自動運転トラックの高速道路走行実現に向けた開発に取り組む。

同プロジェクトは2021年7月に発効した、公道でのレベル4の自動運転を可能にする道路交通改正法(自動運転法)に基づくもので(2021年2月16日記事参照)、ドイツ経済・気候保護省から資金提供支援も受けている。今後、(1)交通事故や渋滞の削減、(2)燃料消費と二酸化炭素(CO2)排出量の削減、(3)柔軟な車両活用によるトラックドライバー不足の解消を目指す。MANトラック&バスによると、ドイツ国内の渋滞による年間の経済損失額は数十億ユーロに達し、交通事故の約9割はヒューマンエラーが要因だという。人手不足も深刻で、国内のドライバーは少なくとも6万人不足しており、毎年約3万人が退職を迎える。他方、新人ドライバーは毎年約1万7,000人にとどまっている。

MANトラック&バスは既に2021年夏、ドイツ北部にあるハンブルク港のコンテナターミナルで、自動運転トラックのパイロットプロジェクトに成功している。ドイツの商用トラックメーカーのダイムラー・トラックも2021年9月、米国でレベル4の自動運転トラックの走行テストを行ったと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

(注)自動車技術者協会(SAE)が定義する自動運転のレベル。レベル4は、限定された領域内で加速・操舵(そうだ)・制動を全てシステムが行い、ドライバーが全く関与しない状態での走行が可能。

(クラウディア・フェンデル、大河原楓)

(ドイツ)

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