双日、ナイジェリアのガス小売事業者の株式を取得

双日は3月31日、アフリカ特化ファンドのヘリオス・インベストメント・パートナーズ（Helios Investment Partners）から、ナイジェリアを拠点とするガス小売業者のアクセラ・リミテッド（Axxela Limited）の株式の25％を取得したと発表した。同社によると、日本企業がナイジェリアでのガス小売事業に参入するのは初。同社は、エネルギー分野での経験を生かし、ナイジェリアなど西アフリカのエネルギー課題に取り組みたい考えだ。今回の事業参入について、双日ナイジェリア社長の松浦正裕氏に聞いた（2022年4月6日）。

（問）なぜ、ナイジェリアなのか。

（答）ナイジェリアは豊富なガス埋蔵量を有しているが、パイプラインなどのインフラが不足している。ガス資源の利活用において当社の知見が生かせると考えている。また同国は今後、人口増加・経済発展・都市化が進み、ガス需要の確実な増加が見込める点も大きい。

（問）今回の事業参入の決め手は。

（答）アクセラ社は20年超の操業実績を有し、現在200社以上の産業顧客向けに継続的にガスを供給しているため、安定した収益が見込める。また、当社は、多様な顧客ニーズに応える「総合エネルギーソリューション事業者」を目指しており、アクセラ社と成長戦略を共有できた。共同出資者のヘリオス社は、ナイジェリアなどアフリカに特化したファンドだが、当社の経験やノウハウを用いて彼らを補完することで、今後の事業展開にもプラスに働く。さらに、ナイジェリアでは公共で賄えない電力の多くをディーゼル燃料による発電に頼っているが、これらをガスに転換することで二酸化炭素の排出量削減につながる。

（問）参入にあたって障壁となった点は。

（答）2021年8月から新たに制定された石油産業法（PIA）（2021年8月23日記事参照）の解釈や、同法下で新たに設立された監督官庁の許認可対応につき、当初、不透明な部分があった。ナイジェリアだけではないが、新組織の体制が確立するまでに時間を要し、コミュニケーションが取りづらい場合が多い。

（問）アクセラ社やヘリオス社と取り組みたい事業、将来の展望は。

（答）再生可能エネルギー、液化天然ガス（LNG）トレーディング、浮体式LNG貯蔵再ガス化設備（FSRU）（注）などでの当社の経験やノウハウを活用し、投資先での資産価値向上を目指したい。また、顧客に対するエネルギーソリューションとして、ベトナムで取り組んでいる屋根設置型太陽光発電のノウハウの活用や、エネルギー効率の最適化によるコストならびに二酸化炭素の削減を視野に入れた事業展開を検討したい。

（注）Floating Storage and Regasification Unitの略。LNG基地をつくらず、貯蔵・再ガス化設備を加えた専用船を洋上に係留する。

（谷波拓真）