ジェトロ、対中国・ロシア中心に米国の経済安全保障等法制度に関するウェビナー開催

(米国、日本、中国、ロシア、ウクライナ)

米州課

2022年04月05日

米国の対中国政策が経済安全保障分野で広がりをみせ、ロシアのウクライナ侵攻に伴う対ロ制裁が強まる中、ジェトロは3月25日、米国の通商法や輸出入管理関連法を専門として在米日系企業などに助言を行っている米国メイヤーブラウン法律事務所パートナーの伊藤嘉秀弁護士と村瀬悟弁護士を講師に招き、ウェビナーを開催した。「米国の経済安全保障等法制度の最新動向-対中国、対ロシアを中心に-」と題したウェビナーの参加登録者数は、開催1週間以上前に定員の900人に達し、当日も国内外の企業関係者など多数が参加した。

ウェビナーの冒頭、村瀬弁護士は米国主導の国際秩序の歴史に触れた上で、今回の対ロシア制裁は迅速かつ威力が大きいと述べる一方、必ずしも各国の動きは一致していないと指摘。その後、講演した伊藤弁護士は「米国の経済安全保障制度の実態や最近の動向を把握することは、日本企業にとって中長期的な観点からグローバル戦略を検討する上で有益」と述べた。また、米国の安全保障の概念は、貿易や投資、通信などが全世界的に緊密化する中で拡大しており、経済安全保障対策として、輸出入や対内直接投資が広範囲に規制されるようになったと説明した。加えて、1930年関税法307条に基づいて2021年12月に成立したウイグル強制労働防止法(2021年12月24日記事参照)は、新疆ウイグル自治区で一部または全部が生産された物品に関して、反証が示されない限り輸入を禁じるもので、今後の公聴会開催や同法の執行開始までの見通しを示した。米国の対ロ制裁については、米国が2月21日以降に各種連邦法や大統領令を通じて発動した措置に関して解説し、3月11日と3月24日に発表されたG7共同声明にも言及した。

講演の後半では、これら米国の経済安全保障対策が日本および在外日系企業に与える影響に話が及んだ。対米輸出、米国製品の再輸出や国内移転、米国外の取引相手(第三国、第三者)などにおける留意点が網羅的に示され、日系企業が取るべき対策として、取引相手の調査・確認方法、製品の原産地や取引内容の確認方法、契約上のセーフガード、危機管理対策などに言及した。

ジェトロは4月5日から15日まで、本ウェビナーのアーカイブ動画を配信している。視聴後にアンケートに回答すると、講演資料をダウンロードできるので、是非活用してもらいたい。

(片岡一生)

(米国、日本、中国、ロシア、ウクライナ)

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