米英政府、「大西洋貿易の未来に関する対話」を初開催

(米国、英国)

ニューヨーク発

2022年03月24日

米国通商代表部(USTR)のキャサリン・タイ代表と英国のアン・マリー・トレビリアン国際通商相は3月21~22日、米国メリーランド州ボルチモアで「大西洋貿易の未来に関する対話」を初めて開催した。同対話は、米国のジョー・バイデン大統領と英国のボリス・ジョンソン首相が2021年6月に発表した「新大西洋憲章」を踏まえて創設された。両国の共通の価値観に基づく国際貿易における相互の優先事項の推進に協力しつつ、両国の労働者や企業に資する革新的かつ包摂的な経済成長を促すことを目的とする(2022年3月17日記事参照)。

今回の対話では、タイ、トレビリアン両氏による会談のほか、労働者や企業、市民社会の利害関係者も交えたラウンドテーブルなども開催外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされた。同対話開催後に発表された共同声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、タイ、トレビリアン両氏は次の事項について約束した。

  • 英米中小企業対話を再設置し、大西洋両岸の中小企業と継続的に協議し、貿易・投資のさらなる支援策を特定する。
  • 労働者、消費者、事業者を適切に保護しつつ、競争的で開かれたデジタル経済の便益を活用する。
  • 2021年10月のG7貿易相会合で合意された「G7デジタル貿易原則」(2021年10月26日記事参照)に基づき、税関書類やその他の税関手続きの電子化などに取り組む。
  • 将来的な世界的ショックにも耐え得る、強力で耐久性のあるサプライチェーンを構築する。
  • 相互におよび他の貿易パートナーと、労働者の権利と環境の保護を支援する。
  • 世界的に強制労働に対処する。
  • 脱炭素経済へ移行するために貿易を通じた奨励策を策定し、環境を保護する。
  • 労働者、消費者、起業家、生産者と同等に、性別や恵まれない、疎外された地域を考慮した通商政策を促進する。
  • 第三者による市場歪曲(わいきょく)的慣行に対処する。

両者は、本対話やその他の機会を通じて、今後数カ月かけて、米英の通商関係を前進させる方策を特定し、共通の課題や機会に対応するとしている。

産業界の間では、本対話がトランプ前政権下で開始された米英貿易協定の交渉再開につながるとの期待も示されていた。しかし、タイ代表は3月22日の記者会見で、その可能性について予断したくないと述べるにとどめた(政治専門誌「ポリティコ」3月22日)。

本対話の第2回は、2022年4月後半に英国で開催される予定だ。

(甲斐野裕之)

(米国、英国)

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