米1月の非農業部門雇用者数、46.7万人増で市場予想を上回る、失業率は4.0%

(米国)

ニューヨーク発

2022年02月07日

米国労働省が2月4日に発表した1月の非農業部門の雇用者数は前月から46万7,000人増で、市場予想(15万人増)を上回った。失業者数は前月から19万4,000人増加したが、就業者数が119万9,000人増加したことにより、失業率は4.0%(添付資料図、表1参照)と、前月(3.9%、2022年1月11日記事参照)からほぼ横ばいだった(市場予想は3.9%)。なお、今回、季節調整方法が変更されたことにより、過去のデータがさかのぼって修正されており、例えば、2021年12月の非農業部門の雇用者数前月比は19万9,000人増から51万人増に大幅に上方修正されている。

失業者のうち、一時解雇を理由とする失業者数は前月(81万2,000人)より14万7,000人増加して95万9,000人、恒常的な失業者数は前月(170万3,000人)より7万3,000人減少して163万人となった。

労働参加率(注)は前月から0.3ポイント上昇の62.2%だった。12月の労働力人口は前月から139万3,000人と大幅に増加した。

平均時給は31.63ドル(12月:31.4ドル)で、前月比0.7%増(12月:0.5%増)、前年同月比5.7%増(12月:4.9%増)でともに伸びが加速している(添付資料表1参照)。

1月の非農業部門雇用者数の前月差46万7,000人増の内訳をみると、民間部門は44万4,000人増で、そのうち財部門が4,000人増とほぼ横ばい。主な業種として製造業は1万3,000人増、建設業は5,000人減だった。サービス部門は44万人増で、娯楽接客業15万1,000人増、対事業所サービス8万6,000人増、小売業6万1,000人増と、低水準ながらも多くの業種で増加している。政府部門も2万3,000人増だった(添付資料表2参照)。

また、人種別の雇用状況について、1月のそれぞれの失業率は、白人が3.4%(前月3.2%)と悪化したが、アジア系3.6%(前月3.8%)、ヒスパニック・ラテン系4.9%(前月4.9%)、黒人6.9%(前月7.1%)では回復ないし横ばいだった。

新型コロナウイルスのオミクロン株のまん延により、感染あるいは濃厚接触者となって欠勤を余儀なくされる動きが相次いでいるが、これに関連して、雇用者数の数値は解雇されていなくても病気休暇により給与の支払いを受けていない場合は雇用者数にカウントされないという特徴がある。このため、1月の雇用者数の増加は相当程度低いものと予想されていたが、実際の数値は市場予想を上回り、景気の堅調さが確認できる内容となった。一方で、賃金上昇が加速していることも今回の数値で確認できるが、これに関連して、全米独立企業連盟(NFIB)が2月3日に公表した月次レポートによると、調査対象の中小企業の50%が1月に賃金を上げたと回答したとしている。これは48年ぶりの高水準で、NFIBは「中小企業経営者は、求人数が失業者数を上回るという労働市場の逼迫による賃金水準上昇という現実に直面している」と述べ、中小企業にも賃金上昇の圧力が広がっていることを指摘している。高インフレが続く米国経済だが(2022年1月13日記事参照)、高い賃金上昇が続いて企業コストがかさめば、値上げを余儀なくされ、さらに高インフレを加速・定着させることにつながる。足元ではオミクロン株感染が一部で落ち着いてきている動きもあるが、労働市場の逼迫が今後解消に向かうか注目される。

(注)労働参加率は、生産年齢人口(16歳以上の人口)に占める労働力人口(就業者+失業者)の割合。

(宮野慶太)

(米国)

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