労働者の定着困難、企業は自動化装置の導入検討も、米シカゴ連銀ベージュブック

(米国)

シカゴ発

2022年01月19日

米連邦準備制度理事会(FRB)が1月12日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、注1)の中で、中西部の一部地域(注2)を管轄するシカゴ連銀は、2021年11月下旬から12月にかけての同地域の経済活動について、控えめに(modestly)向上したものの、労働力や資材の供給不足や新型コロナウイルス感染拡大が引き続き景気拡大の足かせになっていると報告した。

同地域の経済活動を分野ごとにみると、雇用は控えめに(at a modest pace)増加した。熟練、非熟練を問わず労働者を見つけるのが困難な状況が続いており、新規雇用者の中には、予定した初日に出社しなかったり、すぐに辞めてしまったりする者もいるとの報告がみられた。また、労働者を引き止めるため、多くの企業は通常より多額の昇給やボーナスの支給を実施していた。

個人消費は控えめに(modestly)増加した。アパレル、家具、家電の各カテゴリーは引き続き高い売り上げを記録し、中古品店やディスカウントストアの売り上げも好調だった。小型自動車の販売台数は、在庫が低水準で推移し、ほとんど変化がなかった。

企業支出は控えめに(modestly)増加した。小売店の在庫はサプライチェーンの問題により多くの分野で低水準にとどまり、2022年後半まで続くとみられる。設備投資は緩やかに増加し、新しい自動化装置などの技術的なアップグレードや、施設の拡張が目立った。

製造業の活動はわずかに(slightly)増加したが、未処理の受注が増加しており、労働力を中心とした投入資材の確保が難しく、生産量の増加は限定的との報告がみられた。自動車生産台数は、マイクロチップなどの部品不足によりわずかな増加にとどまった。

農業分野に関しては、トウモロコシや大豆の高値や豊作により、2021年の農業所得は好調に推移した。しかし、資材価格の伸びが農産物価格の伸びを上回り、2022年の所得はより低くなるとみられている。

個々の調査対象項目ごとのポイントは添付資料参照。

(注1)連邦公開市場委員会(FOMC)の開催に先立って年8回公表されており、銀行からの報告や、ビジネス関係者などの声を基にまとめたもの。

(注2)アイオワ、イリノイ北部、インディアナ北部、ウィスコンシン南部、ミシガン南部。

(小林大祐)

(米国)

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