マクロン大統領、外資誘致に向けた会合開催

(フランス)

パリ発

2022年01月19日

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は1月17日、対フランス投資誘致を目的にした会合「チューズ・フランス」を開催した。同会合を開催するのは5回目で、今回は新型コロナウイルスのオミクロン株の感染拡大を受け、企業経営者を一堂に集めた会合ではなく、会談や工場訪問を行うかたちで実施した。マクロン大統領は米国化学イーストマンのマーク・コスタ最高経営責任者(CEO)を大統領府に招いて会談した後、グラン・テスト地域圏シャランペ市にあるドイツの化学BASFの工場を訪問した。

同会合の開催に合わせ、外国企業による総額40億ユーロ、21件の投資プロジェクトが発表された。

イーストマンは世界最大級の分子プラスチックリサイクル施設をフランスに開設し、循環型経済への加速化に向けて最大10億ドルを投資する。同施設では、現在は焼却処分しているリサイクル困難なプラスチック廃棄物の年間最大16万トンをリサイクルする。同時に、分子レベルのリサイクルに関わるイノベーションセンターを新設する。両施設を2025年までに稼働し、新たに約350人を雇用する計画で、同プロジェクトによりリサイクル、エネルギー、インフラ分野で1,500人の間接雇用が生まれるとしている。

また、BASFは3億ユーロを投じ、ナイロン製造に使われるヘキサメチレンジアミン(HMD)の製造工場を建設する計画を発表した。同工場は2024年に稼働し、年間26万トンのHMDを生産する予定だ。

その他の投資案件では、リサイクル分野でカナダのループ・インダストリーズがノルマンディー地域圏ポート・ジェローム市に、欧州初となる、リサイクル素材を使ったポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂の製造工場を建設すると発表した。医薬品分野では、米ファイザーが今後5年間でフランス国内の製造拠点や研究開発施設に総額約5億2,000万ユーロを投資すると発表した。

大統領府によると、2017年から2020年までに合わせて5,300件、総額140億ユーロを超える投資が外国企業により実施され、14万3,000人の雇用が維持または創出された。

(山崎あき)

(フランス)

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