通商環境の変化でマイナスの影響受ける企業は3割近くに減少、2021年度米国進出日系企業調査

(米国)

米州課

2021年12月27日

ジェトロが9月に実施した米国進出日系企業実態調査(2021年12月17日記事参照)によると、追加関税など通商環境の変化について、「影響はない」が32.9%を占め、「わからない」(29.0%)、「全体としてマイナスの影響がある」(26.2%)が続いた。「わからない」との回答は前年(15.9%)から13.1ポイント増えた一方、「全体としてマイナスの影響がある」は前年(36.3%)から10.1ポイント減少した。この結果は、ジョー・バイデン米国大統領が2021年3月に発表した通商政策方針で、これまでの政策を見直すと報告していたが(2021年3月3日記事参照)、本調査終了日までに具体的な見直し内容が示されなかったことが影響しているとみられる。業種別にみると、「全体としてマイナスの影響がある」と回答した企業は、自動車等や小売業(それぞれ45.5%)で高かった。

マイナスの影響は引き続き「米国の通商法301条に基づく追加関税」が上位

「全体としてマイナスの影響がある」とした企業のうち、影響を受ける政策として、前年同様、「米国の通商法301条に基づく追加関税」が55.2%(前年57.3%)で上位に挙がった。次いで、「中国の米国に対する報復関税」が32.0%、「米国の鉄鋼・アルミニウムを対象とした追加関税賦課」が24.1%で、「米国の輸出管理・投資規制強化」は12.8%にとどまった。「米国の通商法301条に基づく追加関税」を弾別にみると、第3弾が32.2%で最も高く、第2弾(24.6%)、第1弾(23.7%)が続いた。具体的なマイナスの影響としては、「一部、米国外に輸出できなくなる製品がある」(鉄・非鉄・金属)、「関税影響を完全に価格転嫁できない」(自動車等部品)、「規制強化による手続きの複雑化、顧客の投資抑制」(販売会社)といった声が聞かれた。

本調査では、サプライチェーンを含む事業戦略の見直しについても聞いており、結果の解説は2021年12月24日記事参照調査結果の詳細はジェトロのウェブサイトに掲載されている。

(大塚真子)

(米国)

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