ダイムラー・トラック、他社と共同で電動トラック向け充電施設を拡充

(ドイツ)

ミュンヘン発

2021年12月24日

ドイツ自動車大手ダイムラーからトラック・バス部門を分社化したダイムラー・トラックは12月16日、フォルクスワーゲン(VW)グループの商用車部門トレイトン、スウェーデンのボルボ・グループと合弁で、欧州で電動トラック・バス向け充電インフラを整備する会社を設立すると発表した(同社プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

合弁会社は欧州内で、長距離大型トラックと長距離バス向けの公共高圧充電施設を設置・運営する。合弁会社は3社が同額を出資、アムステルダムに拠点を設ける。当局の承認を得た上で2022年から業務を開始、また、3社は合計で5億ユーロを投資予定。合弁会社設立後5年間で少なくとも1,700の公共高圧充電施設の整備が目標で、充電施設の電気は再生可能エネルギーとする。設置場所は高速道路またはその周辺、物流拠点、荷下ろし地などとする予定。さらなるパートナーが参画する場合や政府などの助成を受けられることになった場合、設置目標を大幅に増やす可能性があるとした。

EUの「欧州グリーン・ディール」(2019年12月12日記事参照)を受けて、交通輸送部門の温室効果ガス排出削減が求められている。他方、EUでは2020年の新規登録商用車(3.5トン超)の96.5%はディーゼル車で、電動トラックは0.4%にすぎない。バス(3.5トン超)も72.9%がディーゼル車で、電動バスは6.1%にとどまる。ドイツ交通・デジタルインフラ省(省庁再編後の現在はデジタル・交通省)によると、交通・運輸部門の二酸化炭素(CO2)排出量の約3割がトラックなど重量物輸送によるものだという(2020年11月19日記事参照)。

欧州委員会は公共充電施設を拡充すべく、2021年7月に代替燃料インフラ指令を改正する規則案を発表した(2021年7月16日記事参照)。大型商用車向けでは、汎(はん)欧州運輸ネットワーク(TEN-T)計画が定める主要計画地域で、60キロ間隔で最低1カ所の充電ポイントを、2025年までに出力1,400キロワット(kW)以上、2030年までに出力3,500kW以上にする目標を掲げた。他方、欧州自動車工業会(ACEA)は11月、英国とEUでは2025年までに約4万台の電動の中・大型トラックが運転され、2030年には約27万台までに上るとし、代替燃料インフラ規則案が掲げる目標では足りないと指摘している(同工業会ポジションペーパーPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)2021年12月6日記事参照)。

(クラウディア・フェンデル、高塚一)

(ドイツ)

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