マドゥーロ大統領が新型コロナワクチン接種の加速表明、活動制限は緩和へ

(ベネズエラ)

ボゴタ発

2021年11月01日

ベネズエラのニコラス・マドゥーロ大統領は10月24日、「(新型コロナウイルス)ワクチン接種のペースが非常に遅い」として、接種ペースを加速する意向を表明した。

汎米保険機構(PAHO)の統計によると、ベネズエラのワクチンの累計接種回数は10月22日時点で1,612万7,242回。これは人口(約2,870万人)に対する比率では56%となる。なお、少なくとも1回目接種の完了者は993万6,613人で全人口の35%、2回目接種完了者は619万629人と同22%となっている。保健省も最新の接種状況として、人口比で56%が接種済みと発表しており、10月中にこれを70%、12月中に95%に引き上げる計画だ。3回目接種についても検討しており、この95%が完了した後、2022年前半に開始すると発表している。

PAHOによると、使用されているワクチンは、88%が中国シノファーム、11%がロシアのスプートニクVで、1%未満だがキューバ製のアブダラも含まれている。アブダラは6月時点で既に3万回分が接種済み、10月にはさらに90万回分を受領済みと発表されている。マドゥーロ大統領によると、2021年末までに同ワクチンを合計1,600万回分受領する予定で、2022年1月からベネズエラで同ワクチンを生産する計画がある。同ワクチンは1回目接種の14日後と28日後と計3回の接種が想定されており、キューバ保健当局によると有効性は92.28%に上るという。

ベネズエラではこれまで、外出を規制する週と規制を緩和して経済活動が可能な週を繰り返す「7+7政策」を取ってきたが、マドゥーロ大統領は10月17日、この政策を一部変更して、11月1日から12月31日までを規制緩和期間にすると発表した。保健省の発表によると、10月26日の1日当たり新規感染者数は748人で、その前週の1,302人から大きく減少している。ただし、慢性的な断水が続く中で手洗いの徹底、アルコールや殺菌ジェルを買い続けることが困難な市民も多く、規制緩和により感染が再度拡大を危惧する見方は多い。

写真 ワクチン接種の順番待ちの市民(ジェトロ撮影)

ワクチン接種の順番待ちの市民(ジェトロ撮影)

写真 カラカス市内のワクチン接種センターの様子(ジェトロ撮影)

カラカス市内のワクチン接種センターの様子(ジェトロ撮影)

(マガリ・ヨネクラ、豊田哲也)

(ベネズエラ)

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