欧州委、グリーン技術の商用化支援に10億ドル拠出をCOP26で表明

(EU)

ブリュッセル発

2021年11月05日

欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は11月2日、英国グラスゴーで開催されている国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で、米国マイクロソフトの共同創業者ビル・ゲイツ氏と、欧州投資銀行(EIB)とともに、官民共同の「EUカタリスト・パートナーシップ」の立ち上げを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

このパートナーシップは、商用化の初期段階にあり、生産コストが割高なために市場拡大が進んでいない気候変動対策となるEU域内の革新技術に投資することで、こうした技術の商用化を加速させ、従来の技術と十分競争できるレベルに引き上げることを目指すものだ。欧州委はEIBを通じて、ゲイツ氏が創設した「ブレークスルー・エナジー・カタリスト」)とともに、それぞれ同額を出資し、今後5年間で最大8億2,000万ユーロ(約10億ドル)を投資する。さらに、ブレークスルー・エナジー・カタリストはパートナー先の企業に対し、対象技術への投資や商用化された対象技術の購入を勧めることになる。対象となるプロジェクトは、温室効果ガスの削減に特に貢献する以下の分野となる。

  • クリーン水素
  • 持続可能な航空燃料
  • 直接空気回収(DAC:大気中から二酸化炭素を直接回収する技術)
  • 長期エネルギー貯蔵

コンゴ盆地の熱帯雨林など保全に5年間で10億ユーロ拠出

また、フォン・デア・ライエン委員長は2日、2030年までに森林破壊を終わらせることを目指し、日本を含む先進国12カ国・地域が今後5年間で合計120億ドルの資金動員をCOP26で表明した「グローバル森林融資誓約外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(Global Forests Finance Pledge)に対して、EU予算から10億ユーロを拠出すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。このうち2億5,000万ユーロは、コンゴ盆地にある世界第2位の大きさの熱帯雨林の保護と地域住民の生活向上を目的に、カメルーン、中央アフリカ共和国、コンゴ民主共和国、コンゴ共和国、赤道ギニア、ガボン、ブルンジ、ルワンダの8カ国に向けて提供する。

欧州委のユッタ・ウルピライネン委員(国際協力担当)は、今回の拠出表明は生物多様性の保護だけでなく、持続可能な成長や気候変動の緩和に向けた支援だとして、持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けて、支援先の政府だけでなく、市民社会、先住民、民間セクターとのパートナーシップも重視するとしている。

(吉沼啓介)

(EU)

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