中国の高齢者数1億9,000万人に、高齢事業発展公報を発表

(中国)

大連発

2021年10月21日

中国・国家衛生健康委員会は10月15日、「2020年度国家高齢事業発展公報」を発表した。同公報は毎年発表され、高齢者数、高齢化の特徴、政府の取り組みなどについてとりまとめている。

6地域の高齢者数が1,000万人超

同公報によると、中国における65歳以上の高齢者数は1億9,064万人で、高齢化率は13.5%に達した(2020年11月1日時点)。31の省・市・自治区のうち、65歳以上の高齢者数が1,000万人を超えたのは6地域(山東省、四川省、江蘇省、河南省、広東省、河北省)だった。また、全国平均の高齢化率を超えたのは13地域で、上位3地域は遼寧省(17.4%)、重慶市(17.1%)、四川省(16.9%)の順(添付資料図参照)。

また、高齢化の特徴として、以下の5点が取り上げられた。

a.高齢者人口数が非常に多い

b.高齢化率が加速しており、2010年より4.6ポイント上昇

c.農村部の高齢化率は17.7%で都市部を大きく(6.6ポイント)上回り、高齢化がより進展。

d.60歳以上の人口層で高校以上の学歴を持つ人の割合は13.9%で、2010年より5.0ポイント上昇

e.60歳以上の人口層をみると、比較的若い人口層の割合が高い。60~69歳の人口層の60歳以上の人口全体に占める割合は55.8%(1億4,740万人)。

長期介護保険の加入者数は1億人超

中国は2001年に高齢化社会(高齢化率:7%)に入り、高齢社会(14%)入りも間近だ。中国政府は近年、高齢者ケアサービスなど多分野における政策の制定を急ぐなど、高齢化対策に積極的に取り組んでいる。とりわけ注目されるのが長期介護保険だ。2016年から一部の都市で試験的に導入されており、現在の実施都市は49都市となっている。31の省・市・自治区のうち、全域で実施している地域は、山東省、上海市、天津市、重慶市だ。

同公報によると、2020年末時点の、試験実施都市における長期介護保険の加入者数は1億800万人で、保険の利用者数は累計で136万人に達した。保険が利用可能な施設数は4,845カ所となっている。

中国政府は試験実施都市での実施状況を踏まえて、全国での制度導入を目指す方針を示している。2020年9月に発表された「長期介護保険制度試行拠点の拡大に関する指導意見」では、第14次5カ年規画(2021~2025年)の期間中に、中国の経済発展水準と高齢者人口の発展傾向に合わせた介護保険制度の基本的な政策枠組みを形成するとしている(2020年10月16日記事参照)。

(呉冬梅)

(中国)

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