新型コロナ禍後の経済見通しで物価の高騰を懸念、米シンクタンク調査

(米国)

米州課

2021年09月29日

米国シンクタンク、ピュー・リサーチ・センターは、9月23日に「新型コロナ禍」後の経済見通しやバイデン政権の評価などに関する調査結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注1)を発表した。

それによれば、今後の経済見通しについて、経済が「良くなる」との回答は29%で、3月の調査時(44%)より下がっている。「ほぼ同じ」との回答は34%(3月:24%)、「悪くなる」37%(31%)だった。支持政党別では、民主党支持者は「良くなる」が3月の63%から44%に、共和党支持者は3月の23%から11%に低下した。

バイデン政権の政策で経済が「悪くなった」とする人は40%で、「良くなった」(26%)を上回った。

経済的に懸念されることとしては、食品や日用品の物価高騰が93%(「非常に懸念」63%、「やや懸念」30%)と最も高く、(雇用者側の理由による)雇用状況の悪化が78%(42%、37%)、(未払いによる)立ち退きや差し押さえが72%(35%、37%)、仕事が見つからないことが61%(29%、32%)となった。食品や日用品の物価高騰は、共和党支持者で70%、民主党支持者は56%と、支持政党にかかわらず最も懸念される事項だった。

特に低所得層では、中所得層、高所得層に比べて非常に懸念されることとして、立ち退きや差し押さえ(47%、中所得層32%、高所得層24%)、仕事が見つからないこと(37%、中所得層26%、高所得層22%)が挙げられた。

また、バイデン政権の増税案である年間40万ドル超の高所得者への増税については、61%が「支持」と回答した。支持政党別では、民主党支持者は77%が「支持」と回答したが、共和党支持者は43%にとどまった。共和党支持者では「現状で良い」とする割合が38%と高かった。

同様に、大企業への増税については、「支持」が66%だった。支持政党別では、民主党支持者の「支持」が85%で、共和党支持者では42%となった。「現状で良い」とする共和党支持者は37%だった。

バイデン大統領の支持率低下

ジョー・バイデン大統領の支持率は、「支持」44%、「不支持」53%と政権発足後初めて不支持が支持を上回った(注2)。3月調査時は、「支持」54%、「不支持」42%だった。

政策課題別では、新型コロナウイルス対応が3月調査時65%から51%に低下し、外交政策(3月調査時:56%、今回:45%)、経済政策(56%、48%)、移民政策(53%、43%)、国内の融合(48%、34%)と全ての項目で支持率が低下した。

(注1)実施時期は、2021年8月23~29日。対象者は、米国の成人1万1,178人、回答者1万348人。

(注2)世論調査データサイト、リアルクリアポリティクスによれば、9月24日の各世論調査のバイデン大統領支持率平均値は、「支持」45.3%、「不支持」50.3%。

(松岡智恵子)

(米国)

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