新型コロナウイルス、ラムダ株が5割超占めるもデルタ株増加による第3波への警戒が高まる

(ペルー)

リマ発

2021年08月20日

ペルー保健省(MINSA)は8月16日に、傘下の国立保健研究所(INS)を通じて同国における新型コロナウイルスの変異株のうち、デルタ株の感染件数が累計105件に上ると発表した。INSでは、2021年1月から8月にかけて約4,000件以上の感染事例のゲノム解析検査を行ってきたとしており、デルタ株については6月7日に南部アレキパ州で最初の感染事例が確認されてから増加傾向にあるという。地域別では、リマ州の39件を筆頭に、隣接するカジャオ特別区が16件、フニン州16件、イカ州14件、パスコ州10件、アレキパ州7件、アプリマック州1件、ウアンカベリカ州1件、アジャクチョ州1件となっている。

また、INSの全国公衆衛生センターのオスカル・エスカランテ感染症局長は、今回の感染事例数について、既に市中感染が広がっている可能性を示唆した上で、デルタ株感染者1人から6人が感染する可能性があることから、あらためて国民への感染予防対策の注意喚起を行った。また、エルナンド・セバージョス保健相も、今回の報告を受けて感染の第3波が始まった可能性に言及したが、再びロックダウン策を取るかについては、現時点ではその可能性は否定するにとどまった。

INSが発表した全国の変異株の状況によれば、5,505件のゲノム解析検査のうち2,996件(全検査数の54.4%)がラムダ株で依然として主力変異株となっており、次いでガンマ株875件(15.9%)、デルタ株105件(1.9%)、アルファ株19件(0.3%)、イオタ株7件(0.1%)、イプシロン株2件(0.04%)、ゼータ株1件(0.02%)、その他1,500件(27.2%)となっている。ペルー国立疾病対策センター(CDC-Perú)は、今後新型コロナウイルスのワクチンの2回目接種を優先し、接種率を75%に引き上げることで感染の拡大抑制を図るべきだと提案している。

ペルーの感染状況はMINSAの8月17日の発表によると、1日当たりの全国の新規感染者数が834人、ICU(集中治療室)床占有率69.8%、前日からの死者数52人と、ワクチン接種の拡大とともに継続して減少に転じている。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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