在宅医療・看護サービスの需要拡大と現地企業の挑戦
(エチオピア)
アディスアベバ発
2021年08月11日
エチオピアで在宅医療・看護サービスを提供するロフボト・ホームベースド・ヘルスケア・サービス(ROHBOT Home-based Healthcare Services plc)。同社の共同創設者のネビヤット・デメケ氏とイェブツガ・デメケ氏に聞いた(6月1日)。
(問)会社の概要について。
(答)当社は2017年1月に姉妹で設立した。姉のネビヤットは社長、妹のイェブツガは広報担当を務めている。会社名はヘブライ語で「発展」「拡大」という意味だ。従業員は約30人で、24時間態勢で専門的な在宅看護サービスを提供している。
(問)具体的なサービスは。
(答)病気の発生を防ぐ基礎的な保健サービスの提供(1次予防)、病気の早期発見と早期治療(2次予防)、残存機能の回復と維持・リハビリテーションの提供(3次予防)だ。また、当社では、家族の介助疲れや負担軽減を目的として、支援を一時的に代替するサービスや、在宅看護にかかる技能訓練も提供している。
(問)起業した理由は。
(答)2015年に実父が脳卒中に倒れたことがきっかけだ。当時のアディスアベバには在宅医療・看護サービスがなく、家族で24時間看護するしかなかった。必要とされる在宅看護の知識と医療器材が不足している状況を変えるために、自分たちで会社を立ち上げることを決めた。
(問)起業をする上で苦労した点は。
(答)当時は在宅医療・看護サービスがなかったこともあり、事業ライセンスの取得でも、まずは政府の理解を得るところから始める必要があった。保健省や品質認証機関、病院や保健施設などを対象とした研究会を何度も開き、事業とその必要性について理解を求めた。需要開拓も同様で、地域の人々に関心喚起と理解促進から始める必要があった。
(問)他社にはない自社の特長は。
(答)当社は、在宅医療と看護に従事する全てのスタッフがよく訓練されている。さらに、国内外の非政府組織や開発援助機関、政府機関、病院・保健施設と戦略的な提携関係にあり、さまざまなセクターと協力しながら社会のニーズを把握している。
(問)日本企業へのメッセージは。
(答)高齢化が進む中、日本では多様なニーズに対して高品質な介護・保健サービスが提供されており、経験や知識、さらには人材育成に関して参考になることが多い。質の高い医療・看護サービスを提供するために、日本の医療機器サプライヤーと協力していきたい。
(メセレット・アベベ)
(エチオピア)
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