バイデン米政権、新型コロナワクチン追加接種を成人向けに認める方針発表

(米国)

ニューヨーク発

2021年08月19日

米国のバイデン政権は8月18日、新型コロナウイルス用ワクチンの追加接種を認める方針を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。ファイザー製あるいはモデルナ製ワクチンを2回接種した成人(18歳以上)を対象に、政府当局の承認を経て、9月20日の週に3回目の接種を開始する見通しだ。

追加接種は、2回目の接種から8カ月経過した成人が対象で、介護施設などに勤める医療従事者や介護施設居住者、高齢者など、これまでの接種でも優先接種対象だったグループから開始される。費用は無料で、身分証明や保険加入は必要ない。米国疾病予防管理センター(CDC)によると、米国でファイザーまたはモデルナ製ワクチンを2回接種した人数は1億5,500万人を超える。米国食品医薬品局(FDA)は8月12日に、がん治療や臓器移植などにより免疫力が低下している人(注1)への3回目の接種を承認している。なお、ジョンソン・エンド・ジョンソン製については、政府関係者が今後数週間以内に追加接種の是非を検証すると発言している。

ジョー・バイデン大統領は追加接種を進める背景に、デルタ型変異株の感染拡大を挙げた。6月に1万人前後で推移していた1日当たりの感染者数は現在10万人を超え、感染原因の98.8%をデルタ株が占める。同株についてCDCは、接種完了者でも感染する例があり、接種完了から一定期間後に感染リスクが上昇する可能性を報告している(注2)。

追加接種については、他国への供給を優先すべきとの指摘が一部出ているのに対し、バイデン大統領は記者会見で反論した。大統領は、米国が6億回分のワクチン輸出計画を順調に遂行していると述べ、米国民の安全確保と海外支援は両立可能との考えを示した。

(注1)具体的な対象者については、CDCがガイドライン外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表している。

(注2)CDCは、ワクチン接種による重症化(入院)リスクを予防する効果が確認されているとして、未接種者に対して接種を行うよう推奨している。

(藪恭兵)

(米国)

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