ロシア製と米モデルナ製の新型コロナワクチン混合接種を開始

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2021年08月10日

ブエノスアイレス市は8月6日、ロシア製の新型コロナワクチン「スプートニクV」を1回目に接種した人に対して、2回目に米国モデルナ製のワクチンを接種する混合接種を開始した。政府は同市とブエノスアイレス州、コルドバ州、ラ・リオハ州、サン・ルイス州で異なるワクチンを組み合わせた混合接種の効果と安全性の評価を行っており、その結果を受けたものだ。

アルゼンチンでは、2020年12月29日に新型コロナワクチンの接種を開始し、初期の接種では「スプートニクV」を使っていた。その後、十分なワクチン確保が困難だったことから、より多くの人へのワクチン接種を優先するべく、1回目と2回目の接種の間に約3カ月の期間を設け、その間にワクチンを確保する予定だった。しかし、2回目接種用の「スプートニクV」を確保できず、現地報道によると、「スプートニクV」を1回目に接種した人のうち600万超の人が2回目の接種をできずにいるという。保健省によると、アルゼンチン全体で、8月5日現在、100人当たりのワクチン接種回数は、1回目接種が57.1回、2回目接種が17.5回となっている。

そのため、政府は異種混合接種の評価を行い、1回目に「スプートニクV」を接種した人に、2回目に米国モデルナ製ワクチン、または英国アストラゼネカ製ワクチンを接種することを決めた。50歳以上や基礎疾患を持つ人を優先し、異種混合接種を望まない人は「スプートニクV」の供給を待つこともできる。「スプートニクV」はロシアからの輸入品に加えて国内生産したものも供給される。今後、アストラゼネカ製とモデルナ製の混合接種も行われる予定。

これまでのところ、デルタ型変異株の国内での感染者数は少ないが、今後の感染拡大が懸念されている。政府は国内にあるワクチンを有効に活用してワクチン接種を進める考えだ。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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