華東3省の上半期経済は順調に回復、デルタ株感染拡大の影響に留意

(中国)

上海発

2021年08月04日

中国の華東地域3省(江蘇省、浙江省、安徽省)は7月19~27日(注1)に2021年上半期の域内総生産(GRP)を発表した。江蘇省は前年同期比13.2%増の5兆5,200億元(約93兆8,400億円、1元=約17円)、浙江省は13.4%増の3兆4,556億元、安徽省は12.9%増の2兆577億元となり、中国全体の伸び(12.7%増)を上回った(添付資料表参照)。

江蘇省の一定規模以上の工業企業(注2)の付加価値額は前年同期比21.5%増となり、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年同期よりも高水準だった。業種別では、ハイテク製造業と設備製造業が堅調で前年同期比23.6%増、27.7%増となった。また、旅行や出張ニーズの回復により、宿泊業の営業額が47.3%増、飲食業の営業額が40.9%増となり、感染拡大前の水準に戻った。

浙江省の一定規模以上の工業企業の付加価値額は前年同期比20.8%増となった。産業別では、デジタル経済関連製造業が28.2%増、ハイエンド設備製造業が25.7%増で好調だった。また、貿易総額は30.6%増の1兆9,208億元に達し、中国全体の1割を占めた。

安徽省の一定規模以上の工業企業の付加価値額は前年同期比17.3%増となった。産業別では、ハイテク製造業が37.9%増、省エネ・新エネやバイオテクノロジーといった戦略的新興産業が36.2%増と急伸した。また、社会消費品小売総額は27.4%増となり、商品別では新エネルギー車が5.7倍、スマート家電が2.3倍、スマートフォンが94.2%増と特に高い伸びになった。また、インターネットの小売総額は34%増だった。

華東地域3省の経済は順調に回復しているが、7月中旬以降、江蘇省南京市を中心に新型コロナウイルスのデルタ株の感染症例が相次いで確認されている。感染拡大が今後の経済状況にどのような影響を与えるか、引き続き注視していく必要がある。

(注1)江蘇省は7月19日、安徽省は7月20日、浙江省は7月27日に発表。

(注2)その年の主な業務による売上高が2,000万元以上の工業企業。

(侯恩東)

(中国)

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