海南省、洋浦港で加工した製品向け関税減免措置を発表

(中国)

広州発

2021年07月20日

中国税関総署は7月8日、「洋浦保税港区(注1)における加工貨物の国内販売に係る税収暫行弁法(以下、弁法)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。2024年12月31日まで実施する。同弁法は、海南省自由貿易港建設総体方案に盛り込んだ、海南自由貿易港で加工された付加価値額が30%以上の貨物に対する輸入関税の減免措置を、洋浦保税港区で先行的に実施する。

同弁法によると、4つの条件(1.洋浦保税港区で登記、2.洋浦経済開発区で登録、3.海南自由貿易港奨励類産業リストに記載されている産業を主業務とする企業で、売り上げが総収入の60%以上、4.企業の生産関連データを税関のプラットフォームにアップロード済み)を満たす企業は、同保税港区において輸入部品および中国国内から調達した材料を利用して製品を生産・加工し、その付加価値額が30%以上の貨物を同保税港区外で販売する際、輸入関税を免除することができる。また、同保税港区内の加工貿易企業間で「深加工結転(注2)」を行い、その累計付加価値額が30%以上の貨物を同保税港区外へ転出する場合も、輸入関税の免除が可能となる。

付加価値の計算は、加工された貨物の国内販売価格と、その製品の原材料となった輸入材料価格の総和および保税港区外(中国本土)から調達した材料価格の総和により計算される。計算式は以下のとおり(注3)。

画像 計算式

ただし、次の場合、輸入関税の免除は不可。

  1. 輸入部品が関税割当制度の対象品目となっている場合。
  2. 混合、包装のやり直し、分割、同梱(どうこん)、切削、簡単な研磨、カットなどの1種類または複数の簡単な加工、処理を経たもの。
  3. その他の規定により、輸入関税を徴収する必要があるもの。

今回の輸入関税の減免措置によりコスト削減が期待される一方で、海南省内での物流コスト上昇が問題になっている。海南省発展改革委員会によると、2021年第1四半期の物流総費用は前年同期比2.2倍の342億4,300万元(約5,821億円、1元=約17円)と、GRP(域内総生産)比率で24.5%を占め、全国(14.6%)を9.9ポイント上回っているという。中国商務部研究院の崔衛傑副院長は「海南省の課題は高い物流コスト、人材不足や市場規模の小ささなどで、物流コストに影響を受けないハイテクなど高付加価値産業の発展余地が大きい」と述べた。

(注1)洋浦保税港区は海南省洋浦経済開発区内にあり、占有面積は9.2063平方キロ。

(注2)保税区内の加工貿易企業間で貨物を転送する制度。転出企業で加工された1次加工品を転入企業へ転売して、2次加工した後に再輸出すること。

(注3)輸入原材料価格と保税港区外(境内)からの調達材料価格は、いずれにしても輸送費、保険料を含む。

(梁梓園)

(中国)

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