6月から新型コロナ行動規制を緩和、9月には完全撤廃の可能性も

(スウェーデン)

ロンドン発

2021年05月18日

スウェーデンでも、新型コロナウイルス感染対策の規制緩和が始まる。ステファン・ロベーン首相は5月12日、各種の規制緩和を6月1日から開始すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。飲食店の営業時間は午後8時30分から午後10時30分へ、酒類提供時間は午後8時から午後10時へ、それぞれ延長する予定。現在8人に制限している集会人数の上限は、着席可能な場合は屋内で50人まで、屋外で500人までに引き上げ、屋外では着席できない場合も100人までに引き上げる。

今回の規制緩和は当初、5月17日の開始を予定していたが、国内の感染者数増加を受けて延期していた。欧州疾病予防管理センター(ECDC)によると、スウェーデンの5月9日までの14日間の人口10万人当たり感染者数は、EU加盟27カ国で4番目に高く、ロベーン首相も12日の会見で「感染者数は全国レベルで減少しているが、感染水準は依然として非常に高いままだ」(「エクスプレッセン紙」5月12日)と述べるなど、警戒を呼び掛けている。

他方で、新型コロナワクチン接種はおおむね順調に展開されている。オックスフォード大学などが運営する「Our World in Data」によると、5月16日時点のスウェーデンの新型コロナワクチンの1回目接種率(人口比)は31.6%で、EU加盟27カ国平均(31.5%)とほぼ同じ数値で推移。公衆衛生局は、今回の規制緩和の発表に合わせて政府に提出した報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの中で、ワクチン接種が今後計画どおり進行し、その時々の規制や勧告が適切に順守されれば、9月には現行の行動制限を撤廃できると予測している。

国内経済も回復基調に

緩やかながらも情勢が好転していることを受け、国内経済も復調の兆しを見せている。スウェーデン統計局が4月29日に発表した3月のGDP指標外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2021年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率は前期比(季節調整済み)1.1%、3月単月では前月比(季節調整済み)2.1%、前年同月比3.5%に回復。同局エコノミストのメルカー・ロバーグ氏は「パンデミック発生から1年経ち、GDPは2020年春の景気後退前とほぼ同じレベルに戻った」とコメントした。

一方で、政府が4月12日に発表した最新の経済見通しPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)では、2021年を通して国内の失業率が8%を超えると予測。マグダレーナ・アンダーソン財務相は「2021年下半期に経済回復は強まるが、労働市場の落ち込みは依然として深刻」として、本格回復に向けてさらに注力する考えを強調している。

(篠崎美佐、杉田舞希)

(スウェーデン)

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