米カリフォルニア州の人口、統計開始以来初の減少に

(米国)

サンフランシスコ発

2021年05月14日

米国カリフォルニア州財務局は5月7日、2021年1月時点の州の人口推計を発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した(注)。推計によると、同州の人口は前年1月時点と比べて約18万人減少(0.46%減)の約3,947万人となり、統計開始以来、初めて前年比で減少した。

財務局は減少の主因として次の3つを挙げている。

  • 第1に、国外からの移住者の減少(約10万人減)。連邦政府のビザ発給制限措置や新型コロナウイルス感染拡大による世界規模での移動制限が影響した。
  • 第2に、新型コロナウイルス関連の死亡による減少(約5万1,000人減)。2020年の州全体の死亡率は直近3年の平均に比べて19ポイント高くなった。州内58郡のうち51郡で過去3年の平均死亡率を上回った。
  • 第3に、人口の自然増(出生数と新型コロナウイルス関連でない死亡数の差)が引き続き減少(約2万4,000人減)した。

都市別に見ると、人口の多いロサンゼルス市(約392万人、前年比1.3%減)、サンディエゴ市(約141万人、0.7%減)、サンノゼ市(約103万人、1.1%減、サンタクララ郡)、サンフランシスコ市(約88万人、1.7%減)は、いずれも前年を下回った。一方、前年に比べて人口が増加している中規模都市もある。北カリフォルニアでは例えば、オークランド市(約44万人、0.7%増、アラメダ郡)、フリーモント市(約23万人、0.5%増、アラメダ郡)、サンタクララ市(約13万人、2.7%増)、エルクグローブ市(約18万人、1.2%増、サクラメント郡)などで、前年から人口が増加した。

今後の人口の動向について財務局は、新型コロナウイルスに関連した死亡数の減少やビザ発給に関する連邦政府の政策変更により、2021年の州人口は微増に戻ると見込んでいる。

カリフォルニア公共政策研究所(PPIC:Public Policy Institute of California)の分析によると、過去20年間、同州の人口の伸びは鈍化しており、特に近年は出生率の低下に加えて移住者数がネットでマイナスに転じたことで、年間の人口成長率の低下が続いていた。PPICは、2010年代に610万人が経済的または家庭の事情で同州から他州に転出した(他州からの転入者は490万人)としている。家賃の高騰などを背景に、低・中所得者の転出が目立つという。

(注)2021年1月時点の人口は暫定値。今回の発表に合わせて2020年1月時点の人口も更新されている。

(石橋裕貴)

(米国)

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