国境陸送による一部品目の輸入暫定禁止措置、5月1日から施行
(ミャンマー)
アジア大洋州課
2021年04月28日
ミャンマー商業省ミャワディ貿易局は、5月1日から、タイと国境を接する貿易拠点ミャワディから陸路で輸入されている各種飲料、コーヒー・紅茶の3 in 1タイプ(砂糖、ミルクが一緒になっているもの)、インスタントコーヒー、コンデンスミルクなどの輸入を暫定的に禁止し、海運輸送のみを許可する通知文を4月18日に発出した。理由は明らかにされていないが、国内消費が停滞していることや、国内産業の保護、密輸取り締まり強化が目的ではないか、と地場の食品製造や輸出を手掛ける協会関係者が現地報道機関に述べている。ミャンマーにとってタイとの国境貿易は慢性的な赤字となっており、2月1日の国軍による権力掌握以降の経済混乱を踏まえ、外貨流出を避ける措置ではないかといった声や、今回の禁輸措置が不正の温床となって闇市場が創出されるのではないかといった見方が現地ビジネス関係者から上がっている。
ミャワディ商工会議所関係者によると、輸入者はこれまで輸出者と輸入量を取り決め、年間の輸入スケジュールを立てて前払い金を支払ってきた。また、保健当局から輸入ライセンス(FDA)を取得するコストもかかっており、この措置は輸入者に損害をもたらしている。海運の物流情勢も不明だ。本来は半年から1年の猶予期間が必要なため、当局に見直しを要請するという。
輸入保護法は間もなく施行
国民民主連盟(NLD)政権時の2019年に制定された地場産業保護を目的とした輸入量増加に対する輸入保護法は、2021年7月1日より施行されることが、2020年7月に大統領により承認された。国軍は権力掌握以降の経済政策に変更予定はないとしているため、このまま施行されるとみられる。同法には、一時的な関税引き上げや輸入量規制を行うための手順などが規定されており、施行後はセーフガードのような国内産業の保護処置を取ることが可能になる。大量の食用油が輸入され、国内産業の存続を懸念しているミャンマー食用油製造協会の一部の関係者は、同法が制定された際、こうした措置が国内産業の衰退を阻止できると期待感を示していた。
(アジア大洋州課)
(ミャンマー)
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