欧米主要国で多数が大幅な政治改革の必要性を認識、米シンクタンク調査

(米国、ドイツ、英国、フランス)

米州課

2021年04月09日

米国シンクタンクのピュー・リサーチ・センターは、3月31日に各国の政治制度に関する世論調査結果(注)を発表した。対象国は、米国、フランス、英国、ドイツの4カ国だ。

調査結果によれば、自国の政治制度の「大幅な」あるいは「抜本的な」改革の必要性については、フランス、米国で「必要」とする回答の割合が高く、それぞれ68%、65%だった。英国が47%とほぼ半数で、最も少ないドイツでも、39%と3人に1人は自国の政治制度に大きな改革が必要とする結果となった。他方、「多少の改革を必要とする」と回答した割合は、ドイツで49%、英国で38%だが、米国、フランスは低く、それぞれ28%、25%だった。

政治制度の改革案として、「市民が問題について討論し、国内法について勧告を行う市民集会を作る」については、米国(79%)、フランス(77%)、ドイツ(76%)、英国(74%)と各国で7割を超える支持があった。「いくつかの重要な問題について何が法律になるかを決定するために、国会議員ではなく市民が直接投票できるようにする」についても、米国(73%)、ドイツ(70%)、フランス(68%)、英国(63%)とおおむね支持が高かった。

「多くの政治家が腐敗している」とする割合は、米国で最も高く67%だった。フランス、英国がそれぞれ46%、45%とほぼ同じで、ドイツでは29%と低かった。

また、「自国の民主主義が機能している」とする人の割合は、ドイツで最も高く、8割だった。英国、フランスでは、それぞれ60%、55%と過半数だったが、米国では45%と半数を下回った。ドイツ、英国、フランスでは、各国政府の新型コロナウイルス対策を「良い」と答えた人のうち、「自国の民主主義が機能している」と回答した人の割合は90%、77%、75%と高い。ピュー・リサーチ・センターでは、欧州3カ国については新型コロナウイルス対策への評価と民主主義機能の評価の間の相関性を指摘している。しかし、米国では、政府の新型コロナウイルス対策を「良い」と答えた人のうち、「自国の民主主義が機能している」と回答した人の割合は47%、新型コロナウイルス対策を「悪い」と答えた人のうちでは44%と、新型コロナウイルス対策の評価と民主主義機能への評価の相関性はみられなかった。

自国の民主主義が機能していると回答した人の割合を2017年と2020年で比較すると、ドイツ(2017年:73%、2020年:80%)、英国(52%、60%)、フランス(34%、55%)では2020年に割合が高くなったが、米国のみ2017年の46%から2020年に45%へと低下した。

(注)実施時期は、2020年11~12月。対象人数(成人)は、米国1,003人、フランス1,021人、ドイツ1,042人、英国1,003人。

(松岡智恵子)

(米国、ドイツ、英国、フランス)

ビジネス短信 c739dbe003869ae2