2020年の対フランス外国直接投資、「新型コロナ禍」でも底堅い魅力を示す

(フランス)

パリ発

2021年04月05日

フランス貿易投資庁(ビジネス・フランス)は3月25日、2020年の外国からフランスへの対内直接投資の結果PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。同発表によると、2020年は1,215件の対仏外国直接投資案件が決定された。欧州全体では外国直接投資の受け入れ案件数が前年比19%減少、世界全体では33%減少している中、フランスは17%減にとどまり、「新型コロナ禍」にもかかわらず投資先として底堅い魅力を示したとの見方をビジネス・フランスは示している。

これら対内投資案件による雇用の創出・維持は3万4,567人で、前年比13%減だったものの、2018年比では14%増と、直近の過去10年間で2番目の高水準となった。雇用創出・維持の37%に当たる1万2,875人が、生産設備の拡大など製造部門に係るものだった。

ビジネス・フランスが実施したアンケート調査によると、フランス進出外国企業の経営者の90%が対仏投資に好印象を持っており、また、フランス国外にいる企業経営者の85%がフランスを有望な投資先だと回答した。さらに、フランス進出外国企業の経営者の80%が新型コロナウイルス関連支援策など緊急経済対策を評価しており、特に2022年までに110億ユーロの支出を予定している「国家投資プログラム」および生産税(注)減税は、最も重要な支援措置とみなされた。

投資案件の件数ベースの内訳をみると、部門別では、製造部門が全体の25%、統括機能などの意思決定部門が23%、小売り部門が13%、研究開発・技術開発部門が12%と続いた。産業分野別では、重点分野の1つであるヘルスケアが前年比40%増(全体の8%)と飛躍的に伸びたほか、再生可能エネルギーなどのエネルギー・リサイクル分野も13%増と顕著な伸びを示した。

投資元の地域・国別のシェア(件数ベース)では、地域別で欧州が64%、北米が20%、アジアが10%となり、国別の上位5カ国は順に米国(17%)、ドイツ(16.5%)、英国(10%)、イタリア(8%)、オランダ(7%)となった。アジアでは、トップの中国(香港を含む)が5.1%で7位、日本は3.5%の10位だった。

投資先地域圏のシェア(雇用ベース)は、パリ市を含むイル・ド・フランスが28%、オー・ド・フランスが14%、オーベルニュ・ローヌ・アルプおよびグランド・エストが各12%と続いた。一方、投資先都市の人口規模(件数ベース)では、2万人未満の都市が42%、2万人以上20万人未満の都市が30%を占め、小規模な都市が多く選択されているとした。

日本に関しては、42件の投資案件により、1,244人の雇用が創出・維持され、投資案件事例として、アイリスオーヤマによるマスク生産、ニプロによる医療用ガラス管の生産拡張、国際紙パルプ商事による紙卸アンタリスの子会社化を紹介している。

(注)固定資産税や社会連帯負担金などの、生産活動を維持するために企業が負担する税金全体のことを指す。

(井上宏一)

(フランス)

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