米西海岸で港湾混雑が継続、アジアからのコンテナ運賃も高騰

(米国)

ロサンゼルス発

2021年04月08日

アジアから北米への海上輸送の玄関口である米国西海岸の港湾で、コンテナ取扱量の増加が続いている。2021年2月のコンテナ取扱量について、ロサンゼルス港は前年同月比46.9%増の79万9,315TEU(20フィートコンテナ換算)、ロングビーチ港は43.3%増の77万1,735TEUと発表した。ロサンゼルス港は7カ月、ロングビーチ港は8カ月連続して前年の取扱量を上回って推移している。

4月6日時点のロサンゼルス港での船舶の平均停泊期間は8日となっている。太平洋商船協会(Pacific Merchant Shipping Association)によれば、両港で船舶が5日以上滞留する割合は、2020年2~6月には2.1~4.0%程度だったが、9月から2021年1月にかけては20%を超えて推移し、2月は低下したものの18.4%となった。また、2020年秋以前は両港があるサンペドロ湾沖で停泊許可を待つコンテナ船は数隻程度にとどまっていたが、2021年4月6日時点では停泊許可待ちは20隻程度とみられる。

港湾混雑の影響は海上輸送の運賃にも表れており、3月31日時点の香港発ロサンゼルス行きの40TEUコンテナ運賃は、前年の同時期と比べ3.5倍の5,576ドルと高騰している。

港湾混雑の背景として、巣ごもり需要による電子商取引(EC)利用などの増加や在庫確保に伴う堅調な輸送需要があるとされている。また、新型コロナウイルス感染拡大による労働者不足や輸送用コンテナの不足も指摘されている。物流関係者にヒアリングしたところ、「新型コロナウイルスの影響による輸送需要の急減から急回復し、港の処理能力を超えた貨物が押し寄せ続けており、順番に処理するためどうしても時間がかかり滞留してしまう。それゆえに残念ながら即効性のある有効な解決策はない」との見解を示した。

こうした港湾混雑の解消には、あと数カ月を要するとみられる。日系海運業者のオーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE:Ocean Network Express)のジェレミー・ニクソンCEO(最高経営責任者)は、港湾混雑について「問題解決には3~4カ月は要し、2021年後半に正常化すると期待している」と述べたと報じられている。

(永田光)

(米国)

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