2020年第4四半期のGDP成長率は前期比マイナス0.1%、通年ではマイナス6.3%に

(ベルギー)

ブリュッセル発

2021年03月08日

ベルギー国立銀行(中央銀行)は3月1日、ベルギーの2020年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率を前期比でマイナス0.1%(季節調整済み)、前年同期比ではマイナス5.1%と発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した(添付資料表参照)。2020年第3四半期は前期比で大幅な回復を記録した(2020年12月9日記事参照)ものの、第4四半期は再びマイナスに転じ、依然として「新型コロナウイルス危機」以前の水準を大きく下回っている。

第4四半期のGDP成長率を需要項目別にみると、企業投資の寄与度が3ポイントから0.7ポイントに大幅に縮小した結果、国内総固定資本形成の伸び率が第3四半期の19.6%増から4.0%増へ、寄与度では4.4ポインントから1.0ポイントへと縮小した。民間最終消費支出は5.6%減となり、寄与度は前期の7.9ポイントからマイナス2.9ポイントへと大きく後退した。政府最終消費支出は、医療部門で急を要さない医療サービス(手術、診療など)が縮小したことによる社会保障費支出の減少などから、前期比3.1%減、寄与度でマイナス0.8ポイントとなった。財貨・サービスの輸出と輸入は、それぞれ3.8%増、2.0%増と拡大した。

2020年通年では、第二次世界大戦以降で最大の落ち込み幅

2020年通年の実質GDP成長率は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で前年比マイナス6.3%となり、同銀行によれば、第二次世界大戦以降で最大の落ち込み幅で、経済危機があった2009年に記録したマイナス2.0%の3倍以上の落ち込みとなった。

2020年のGDP成長率を需要項目別にみると、民間最終消費支出と民間投資は、それぞれ前年比8.7%減、8.1%減、寄与度でマイナス4.5ポイント、マイナス1.1ポイントへと大きく後退した。政府最終消費支出は、医療部門において急を要さない医療サービスが縮小し社会保障費の支出が減少したことから、0.9%減、寄与度でマイナス0.2ポイントとなった。設備投資も、新型コロナウイルス感染拡大による先行きへの不透明感が高まった結果、8.2%減の落ち込みとなった。また、新型コロナウイルス感染拡大の影響は貿易にも及び、輸出入はそれぞれ前年比5.7%減、5.1%減となった。

2020年のGDP成長率を産業別にみると、サービス業は全体で前年比6.4%減と大きく落ち込んだ。落ち込みが最も大きかったのは「芸術・エンターテインメントおよび観光産業」のカテゴリーで、19.8%減となり、GDPを0.4ポイント押し下げた。また、新型コロナウイルス感染拡大防止措置の影響を大きく受けた、「卸売り・小売り、車両メンテナンス、運輸・倉庫、宿泊・飲食業」も13.2%減となり、GDPを2.2ポイント押し下げた。製造業と建設業はいずれも4.2%減で、サービス業と比較して落ち込みが少ないものの、前年のプラス成長からマイナスに転じた。

(大中登紀子)

(ベルギー)

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