12月景況感は拡大を維持、年間では4月が底

(スリランカ)

アジア大洋州課

2021年02月01日

スリランカ中央銀行は1月15日、12月の購買担当者景気指数(PMI)(注)を発表した。同月の製造業PMIは61.2と前月比で3.6ポイント上昇、サービス業も55.6と同6.8ポイント上昇した(添付資料図参照)。両業種の数値が50を超えたことから、ともに景気は改善傾向にあり、特に製造業の水準は高く、その勢いは増している。新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ経済が回復軌道に乗っていることが鮮明となった。中央銀行は12月の状況について「新型コロナウイルス第2波の影響を受けた経済活動の回復に楽観的な見方が強まったことで、(企業の)今後の事業活動への期待が顕著に高まった」と分析した。

2020年のPMIの推移を振り返ると、1、2月時点では両業種ともに景気は拡大基調にあった。しかし、3月以降の世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、政府が外国人観光客の受け入れ規制、外出禁止や操業禁止令を発動したことなどが主因となり、3月に製造業のPMIは30.0、サービス業は32.0と前月比それぞれ23.6ポイント、18.2ポイント低下と急降下し、4月の数値はさらに悪化した。その後、段階的ながらも経済活動が再開され始めたことで、4月を底にPMIは戻りを見せ、6月には両者のPMIは50を超えた。しばらくは景気拡大が続いたものの、10月に第2波とみられる新規の市中感染が明らかになった。政府は外出禁止令を再発動したことで、10月のPMIは悪化に転じた。しかし、11月以降は感染の拡大傾向に改善に伴う各種制限措置の緩和によって、景気はあらためて上昇基調を取り戻した。

(注)Purchasing Managers' Index:購買担当者景気指数の略。購買責任者を対象に、生産高や新規受注、在庫レベル、雇用状況、価格などの指数に一定のウエイトを掛けて算出する指数。0から100の間で変動し、50.0は「前月から横ばい」、50.0を超えると「前月比で改善や増加」を意味して景気拡大を示し50.0未満は「前月比で悪化や減少」として景気減速を表す。

(新田浩之)

(スリランカ)

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