最高警戒レベル再引き上げも感染収まらず、規制強化続く

(アイルランド)

ロンドン発

2021年01月12日

アイルランドで新型コロナウイルス感染拡大が猛威を振るっている。年末から感染者数が急増、公衆衛生緊急チーム(NPHET)の1月8日の発表によると、前日の7日には1日当たり新規感染者数が過去最高の8,248人を記録。南アフリカ共和国からの帰国者3人が同国由来の変異種に感染しており、初めて国内で症例が確認されたことも発表した。

感染拡大を食い止めるため、政府は断続的に規制を強化している。12月24日には新型コロナウイルス感染症に対する全国の警戒度を10月以来(2020年10月22日記事参照)2度目となる最高レベル5に再度引き上げた(ただし、小売店の営業を許容するなどの緩和措置あり)。12月30日には感染数の大幅な増加を受け、NPHETの助言の下、レベル5の規制内容の強化を盛り込んだ追加措置外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表。翌日から生活必需店を除く全ての小売店が閉鎖となったほか、英国本土に加えて南アから同国への渡航を一時的に禁止した。

1月6日にも再び追加措置外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表し、国民に自宅待機を強く要請。重要かつ緊急性の高い場合を除き建設現場も閉鎖し、生活必需店を除く全ての小売店でクリック&コレクト営業を禁止するなど、強力な規制を導入した。英国本土と南アからの入国禁止措置は解除する一方、1月9日からは両国からの入国時に渡航前72時間以内のPCR検査陰性結果を提示することを義務化した。学校は1月末まで登校を停止し、遠隔授業となっている。

規制を大幅に強化する中、政府は1月6日、前年から実施している雇用対策の期間延長を発表。パスカル・ドノフー財務相は、追加予算3億2,300万ユーロを充て、被雇用者向けのパンデミック失業手当(PUP)と事業者向けの被雇用者給与補助スキーム(EWSS)を3月31日まで継続する方針を示した。

ワクチン接種は、医療従事者に対しては12月29日から、優先度の高い第1グループ(介護施設に住む65歳以上)には1月4日から順次開始している。

(杉田舞希、尾関康之)

(アイルランド)

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