ポーランド、EU・英国の通商・協力協定合意でも経済損失を懸念
(ポーランド、英国)
ワルシャワ発
2021年01月07日
EUと英国は12月24日に通商・協力協定に合意し(2020年12月25日記事、同日付記事参照)、英国のEU離脱(ブレグジット)後の移行期間が12月31日に終了して英国はEUを完全に離脱したが、ポーランド開発・労働・技術省のマレック・ニェドゥジャク副大臣はポーランド通信社のインタビューで、「英国との協定締結により、相互取引に関税が適用されないことになり、事業者のコスト増は免れた。しかし、ブレグジットによる国境管理の復活は、出入国や通関に関連する全ての手続きを実行する必要があることを意味する。ブレグジットは間違いなくポーランド経済に損失をもたらす」と述べた(1月4日付同社電子版)。また、インフラ省は、1月1日からEU・英国間の国境管理が復帰し、新しい植物検疫手順や、EUと英国との国境で交通整理をするための新しい規則の導入、運転免許証の取り扱いなど、往来に関する注意事項として国民に知らせた。
ポーランドにとって英国は重要な貿易パートナーだ。ポーランド中央統計局が12月16日に発表した直近の統計によると、2020年1~10月の英国への輸出額は111億ユーロと、ドイツ(555億ユーロ)、チェコ(114億ユーロ)に次いで3番目に多く、ポーランドの全輸出額の5.7%を占めた。ポーランド経済調査局は、ブレグジットが自国経済に与える影響がEU27カ国のうちポーランドは7番目に大きいと予想、EU・英国間の通商・協力協定が成立したとしても、ポーランドのGDPは0.14%減少するとともに、約2万人が失業すると推測している。
こうした中、開発・労働・技術省では、移行期間の終了から生じる支障を最小限に抑えるため、専用ウェブサイトを運営し、欧州委員会と英国からの最新情報を提供している。また、このウェブサイトには、ブレグジットに関する質問をメールで専門家に直接問い合わせできるサービスも用意されている。
(清水幹彦)
(ポーランド、英国)
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