日中外相会談、ビジネス往来の11月内再開などに合意

(中国、日本)

北京発

2020年11月26日

中国の王毅国務委員兼外交部長は11月24日、日本を訪問し、茂木敏充外相と会談した。王氏は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を克服するため、日中両国が各部門で対話交流を徐々に再開させ、新型コロナウイルス対応に関する協力を引き続き実施し、貿易投資やサービス貿易、省エネ・環境保護、電子商取引、医療・介護、防災・減災、デジタル経済、グリーン(環境にやさしい)発展、地方間交流、気候変動などの分野で互恵協力を進めるべきと表明した。また、日中両国が東京オリンピック・パラリンピックと、北京冬季オリンピックの開催を相互に支持することにより、2022年の日中国交正常化50周年に向けて、両国関係を新たなステージに引き上げていくとした。

次回の日中ハイレベル経済対話、2021年に開催

中国外交部によると、会談後に行われた日中外相の共同記者会見で、5つの合意事項と6項目の具体的成果が発表された。5つの合意事項の中には、新型コロナウイルス対応での協力として、随時の情報交換、医療・医薬品分野の協力を盛り込んだ。また、2021年の適切な時期に「日中ハイレベル経済対話」を開催するほか、科学技術・イノベーション、省エネ・環境保護、医療・介護、電子商取引、第三国市場協力などの重点分野での協力を引き続き強化するとした(注1)。

6つの具体的成果の中には、新型コロナウイルスの防疫を徹底するとの前提の下で、11月中に両国間の必要な人員の往来のための「ファストトラック」を開始することを盛り込んだ(注2)。このほか、日中間での食品・農水産品協力のための部門横断の協議メカニズムや、気候変動に関する政策協議メカニズムの構築についても決定した(注3)。

(注1)日中ハイレベル経済対話は、2006年10月の安倍晋三首相訪中の際、日中首脳が経済閣僚間の定期的対話の場として創設に合意したもの。これまで計5回実施され、直近では2019年4月に開催された。

(注2)中国外交部は「快捷通道」と表現しており、ここでは「ファストトラック」とした。日本外務省は「ビジネストラック、また、レジデンストラックを11月中に開始することで合意に至った」と発表している。ビジネストラックは出張など短期滞在者向け、レジデンストラックは駐在員の派遣・交代など長期滞在者向けの枠組み。なお、日本政府は11月1日から、原則として全ての国・地域を対象として、日本在住の日本人および在留資格保持者が短期出張(隔離要請期間を除く滞在期間が7日以内)から帰国・再入国する際に一定の条件を満たす場合は、帰国後14日間の待機を緩和する措置を開始している(2020年11月5日記事参照)。

(注3)中国は日本の10都県(宮城県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、新潟県、長野県、東京都)産の食品・飼料など(新潟県産米を除く)について輸入停止措置を取っている。

(小宮昇平)

(中国、日本)

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