沿海地方、製造業とサービス業で落ち込み

(ロシア)

モスクワ発

2020年09月04日

ロシア連邦国家統計局沿海地方支部は8月21日、2020年1~7月の主要経済指標を発表した。「新型コロナ禍」による営業制限や需要減が影響し、製造業や旅客輸送、外食、小売りなどのサービス業で前年同期と比べて落ち込みが大きかった(添付資料表参照)。他方、7月に入りほとんどの指標で減少幅が小さくなっている。

1~7月の製造業は前年同期比11.8%減だった。特に生産が落ち込んだのは輸送用機器分野で、自動車・トレーラー製造業が前年同期比39.7%減、その他輸送用機器は57.0%減となった。沿海地方で唯一自動車を生産する日ロ合弁のマツダ・ソレルスは4月27日から5月25日まで生産ラインの改修のため生産を停止した(自動車専門調査会社「アフトスタト」6月2日)。生産再開後も自動車需要減を受けて稼働日を減らし生産を調整していたが、8月1日に通常生産体制に復帰した(「インターファクス通信」8月3日)。

沿海地方政府資料によると、その他輸送用機器の減少については、同地方アルセニエフでヘリコプター製造を行うプログレス社の受注減少(注1)や外国顧客向けの受注残が一服したことが要因とされる。

サービス関連産業は軒並み前年同期比減となった。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、3月28日に外食や、食料品店や薬局などを除く小売店、ホテルなどに対して営業禁止措置が導入されたことが要因。中でも、外食売上高は1~7月で前年同期比31.3%減と大きく落ち込んだ。現地の電子メディア「VL.RU」(7月22日)によると、営業禁止措置導入後の約3カ月間でウラジオストク市内の飲食店29軒が閉店したという。個人向けサービス業は25.1%減となり、同業種に含まれる観光(71.5%減)、文化(63.7%減)の落ち込みが大きかった。

非食品など小売店の営業禁止措置は5月27日から段階的に制限が緩和され、8月5日に全面解禁となった。外食についても6月27日にテラスでの営業が解禁され、7月15日に店内での営業も認められた。ホテルの営業も7月15日に解禁された(注2)。これを受け、7月の当該経済指標は減少率の縮小がみられる。

9月1日時点の沿海地方における新型コロナウイルス累計感染者数は9,681人で、回復者数は7,960人。1日当たり新規感染者数は8月中旬以降80人前後で推移している。

(注1)国防用途の政府調達の減少が要因。

(注2)小売店やレストランなどの営業再開に当たっては、地方政府への登録や所定の衛生要件を満たす必要がある。なお、40人超が参加するイベントの開催は引き続き禁止されている。

(タギール・フジヤトフ、浅元薫哉)

(ロシア)

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