活発化するファブラボ、3Dプリンターの活用進む
(チェコ)
プラハ発
2020年08月26日
チェコ産業貿易省は8月18日、2024年のFABx開催地としてプラハが選ばれたと発表した。FABxは、米国のマサチューセッツ工科大学(MIT)の後援で2005年から年に1度開催される国際会議で、世界中のファブラボ(注1)の代表者約1,500人が一堂に会して情報交換を行い、その時々の国際課題の解決方法を探る。2024年開催地にはチェコのほか、パナマ、アルメニア、フィンランドが候補に挙がっていた。
同省のシルバナ・イロトコバー副大臣は「FABxは独創的なアイデアやソリューションを創出するもので、国の経済戦略に即した、付加価値の高い経済の基礎を築くものだ」と同イベントの意義を強調した。
チェコ国内にはファブラボが現在24カ所あり、これらを中心としたメーカームーブメント(注2)も広がりを見せている。メーカーフェアも国内4都市で定期的に開催されており、年間2万2,000人が訪れている。
こうした動きの中心的存在となっているのがプルシャ・リサーチの3Dプリンターだ。同社は国内で新型コロナウイルス感染症が拡大し始めたころ、3Dプリンターで誰もが簡単に作成できるフェースシールドを考案したことで一躍その名が知られることとなった。同社は、産業貿易省、チェコ工科大学などとともに、2024年FABxの後援者となっている。
3Dプリンターの応用に関しては、3Dプリントによる住宅が8月18日にプラハの川面に登場したことでも話題になっている。これはコンクリートを用いた3Dプリンティングを専門とする建築家・芸術家チームが設計・建築したもので、国内初の試みとなった。同チームによると、基礎工事は48時間で完了し、ロボットなどを使用した建築作業は騒音も少なく環境にやさしいとのこと。6月11日付のチェコ通信によると、建物は100年使用可能で、同チームは建物取り壊し後の建設廃棄物の3Dプリンター用コンクリートへの再利用も研究中だという。
(注1)3Dプリンターや3Dスキャナー、旋盤やフライス盤などの各種工作機械を備えた、誰でも利用できる市民工房。
(注2)インターネットに接続したデジタル工作機械を使用して、生産設備を持たないメーカーやその他多くの企業が製品開発を行うことが可能となったデジタル製造の潮流。
(中川圭子)
(チェコ)
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