6月の就業者数、制限措置緩和で21万人増加

(オーストラリア)

シドニー発

2020年07月17日

オーストラリア統計局(ABS)は7月16日、6月の雇用統計を発表し、就業者数(季節調整値)が前月から21万800人増加したことを明らかにした。新型コロナウイルス感染拡大防止のための制限措置の緩和が一段と進んだことから、雇用が促進され、ABSによると、5月までに減少した雇用の約24%が回復したという。

就業者数の増加は、パートタイム労働者の大幅な増加(前月比24万9,000人増)によるもので、フルタイム労働者数の減少(同3万8,100人減)が一部相殺したかたちとなった。また、月間総労働時間は前月から4.0%増加したものの、3月時点の水準からは6.8%低い状態を維持している。

労働市場から離れていた人々が求職活動を再開したことから、失業者数も6万9,300人増加し、失業率は前月から0.3ポイント上昇して7.4%となった。ABSによると、6月の新規失業者の約7割は、5月時点では労働市場を離れていた労働力だという。不完全雇用率は前月から1.4ポイント低下して11.7%に改善したが、3月時点と比べるといまだ2.9ポイント高い水準となっている。

政府は職業訓練を支援

スコット・モリソン首相は同日、新たな技能の習得を促進して雇用を維持するため、20億オーストラリア・ドル(約1,500億円、豪ドル、1豪ドル=約75円)の「職業訓練(JobTrainer)」支援策を発表した。これによって、約34万人の卒業者や求職者に対して短期または長期の訓練コースを無料または低価格で提供し、新しい技能や資格の習得を促進する。3月から実施している中小企業の見習いや研修生雇用に対する賃金の50%補助については、対象を従業員200人未満の企業まで拡大するとともに、9月末までとしていた期間を2021年3月まで延長する。

モリソン首相は「新型コロナウイルス感染拡大による現在の危機的状況を脱した先には、必要とされる仕事や技能が大きく変化している可能性が高い」として、「オーストラリア経済の回復に向けて新たな技能を習得する機会を提供する」と述べた。

(住裕美)

(オーストラリア)

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