失業率が悪化、鉱業への影響の懸念も

(チリ)

サンティアゴ発

2020年07月01日

チリ保健省は、外出禁止措置の対象地域の拡大を発表した。6月23日から、アントファガスタ州のアントファガスタ、トコピジャ、メヒジョネスが追加され、6月26日から、首都圏州のエル・モンテ、タラガンテ、カレラ・デ・タンゴ、バルパライソ州のキジョタ、オイギンス州のグラネロスが追加された。併せて、従前まで同措置の対象となっていた首都圏州の大部分などの地域についても、措置の適用が1週間延長された。

国家統計院(INE)が6月30日付で公表した情報によれば、2020年3~5月のチリにおける失業人口の推定値はおよそ94万人で、前年同期比で35.1%増加した。失業率は前年同期の7.2%に対し、11.2%まで上昇した。毎週のように政府によって範囲が拡大される外出禁止措置の影響が小売業を中心とする国内産業へ大きく影響していることがうかがえる。

また、アントファガスタ州では、州内の新型コロナウイルス感染者数の増加から、従前まで対象となっていたカラマに加え、6月23日から上述の3都市への外出禁止措置の適用が開始された状況を受け、チリ国営銅公社(CODELCO)やテック(Teck)などの大手事業者は、鉱山での建設プロジェクトの中止や、州をまたぐ従業員の移動に制限を設けるなどの処置を講じている。

現在までのチリにおける鉱業は、新型コロナウイルスによる影響が限定的であり、INEが公開した2020年5月の業種別生産指数についても、製造業が前年同期比で13.3%低下する中、鉱業は2.1%上昇している。しかし、今後はアントファガスタ州での外出禁止措置の拡大と、事業者による新型コロナ対策の厳格化により、銅などの鉱物の生産規模も縮小すると見込まれている。

(佐藤竣平)

(チリ)

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