国主導の広域隔離から地域主導の局地隔離へ

(フィリピン)

マニラ発

2020年07月20日

ロドリゴ・ドゥテルテ大統領は7月15日、7月16日から31日までのコミュニティ隔離措置を発表した。マニラ首都圏は従前と同じGCQ(比較的緩やかな制限)を維持するが、日系製造業が集積するラグナ州は首都圏とMGCQ(最も緩やかな制限)からGCQに再強化され、ECQ(最も厳格な制限)を適用されていたセブ市は一段階緩やかなMECQ(比較的厳格な制限)に緩和された〔詳細はフィリピンにおけるコミュニティ隔離措置の最新状況(7月16日更新版)参照〕(注)。全体的な動きとしては、感染対策と経済復興を両立するため、従来の中央政府主導の広域隔離措置から地方自治体主導の局地的隔離措置に転換しつつある。

ドゥテルテ大統領は7月7日の記者会見で「フィリピン政府の財源は限られており、拙速な制限解除で感染を拡大させるリスクはとれない。年内には有効な薬、その後にワクチンが供給されると想定するが、少なくとも薬が出回るまでは隔離措置を継続せざるを得ない」として、国民に理解と協力を求めていた。今回の発表も、その流れに沿うものだ。

なお、新型コロナウイルス感染対策省庁横断タスクフォース(IATF)から、「フィリピン人は不要不急の出国を認められていなかったが、渡航前後の事務手続きや旅行保険付保、所定の検査や自己隔離を行うことを条件として、旅行や出張が認められる」「海外から到着機のフライト乗務員は感染防止のため、宿泊先にとどまらなくてはならない」といった方針も発表されている。

また、貿易産業省は、接客を伴うサービスを提供する事業者の収益性に配慮し、保健省の公衆衛生基準など関連法令を順守することを前提として、営業規制をさらに緩和した。理髪店、美容室については7月16日から、GCQ適用地域ではカットとトリートメントに限定して定員の50%まで収容可能、MGCQ適用地域では定員の75%まで収容可能で、カット、トリートメントに加えて、ネイルケア、フェイシャルケアなども可能となる。また、飲食店では7月21日から、GCQ適用地域では収容人員の上限を定員の30%から50%に増加、MGCQ適用地域でも定員の50%から75%に増加する。

(注)ECQ>MECQ>GCQ>MGCQの順で厳格な措置となる。詳細はフィリピンにおけるコミュニティ隔離措置の最新状況(7月16日更新版)参照。

(石原孝志)

(フィリピン)

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