新型コロナ感染拡大の影響で砂糖の供給が滞る

(ブラジル)

米州課

2020年06月16日

ブラジルバイオエネルギー生産者協会(udop)は6月8日、ブラジルにおける新型コロナウイルス感染拡大の影響により、ブラジル最大の取扱量を誇るサントス港で業務が滞り、砂糖の供給に影響が出ていると報告した。

udopによれば、サントス港で従業員が新型コロナウイルスに感染していることが発覚し、港における人手不足などが原因で砂糖の輸出が滞っているという。前年は、港を出港するまでに4~5日を要していたのが、現在は平均29日かかっているという。なお、同様の問題はサントス港だけでなく、南部パラナ州に位置するブラジル有数の貿易港パラナグア港でも起きている。

砂糖はブラジルの主要輸出産品の1つ。ブラジル経済省によれば、2019年は44億8,235万ドルと金額ベースの品目別輸出で10位だった。udopは、ブラジルと同じく砂糖の主要供給国であるインドやタイにおける生産が落ち込み、代わりにブラジル産砂糖の需要が高まっていると分析する。在ブラジルの商社は、ブラジルでのこのような状況を受け調達先を変更することは不可能ではないが、インドもブラジル同様に新型コロナ感染症が拡大している地域であり「インドの主要港でも同様の問題が起きている」と述べている。

このような、港での長時間待機により、砂糖の小売価格への影響も懸念される。出荷が1日遅れるごとに、1日当たりおよそ2万ドルが加算されると企業はみている。

ブラジル保健省によれば、6月12日時点のブラジルにおける新型コロナウイルス感染者数(累計)は82万8,810人。そのうちサントス港が位置するサンパウロ州の累計感染者数は、16万7,900人と州別の累計感染者数で最も多い。国内の感染者数がピーク期を迎えるのは7月と見込まれている。

(辻本希世)

(ブラジル)

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