UNCTAD、2019年の世界の対内直接投資は3.0%増加と発表

(世界)

国際経済課

2020年06月19日

国連貿易開発会議(UNCTAD)が6月16日に発表した「世界投資報告2020」によると、2019年の世界の対内直接投資(国際収支ベース、ネット、フロー)は前年比3.0%増の1兆5,399億ドルだった(添付資料表参照)。世界の対内直接投資は2016年以降減少が続いていたが、2019年はわずかに増加した。

2019年に世界の対内直接投資額が微増したのは、欧州の寄与によるところが大きい。特にアイルランド向けの投資は、2018年のマイナス281億ドル(引き揚げ超過)から2019年は782億ドルと大幅に増加した。先進国・地域の対内直接投資額は5.1%増の8,002億ドルとなった一方、新興途上国・地域の対内直接投資額は、アフリカやアジア向けの投資が減少したことから、2.1%減の6,847億ドルと伸び率がマイナスとなった。特に、香港向けが34.4%減の684億ドルと、大幅に減少した。

主要国・地域別にみると、EUの対内直接投資額は7.7%増の4,469億ドルに増加した。米国は2.9%減(2,462億ドル)と前年から減少したものの、世界最大の投資受け入れ国としての地位を14年連続で維持した。

新興途上国・地域では、中国が2.1%増の1,412億ドルと、米国に次いで世界2位の直接投資受け入れ国となった。中国以外では、ASEAN向けが4.6%増の1,557億ドルだった。ASEANではシンガポールやインドネシア向けの投資が増加した。

2020年の世界の直接投資について、UNCTADでは、新型コロナウイルスにより9,200億~1兆800億ドルになると予測する。2019年と比較した伸び率は30~40%減少となり、世界金融危機下の2009年(1兆2,000億ドル)を上回る打撃になる可能性がある。地域別に見ると、欧州(30~45%減)、中南米(45~55%減)、アフリカ(25~40%減)の減速が目立つという。また、2021年の直接投資はさらに5~10%減速すると予測している。UNCTADのキトゥイ事務局長は「今後の見通しは不確実性が高く、(新型コロナウイルスによる)健康の危機の持続期間や、パンデミックの経済的影響を緩和する政策の有効性次第だ」と述べた。

(柏瀬あすか)

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