約7割の企業が新型コロナの影響で収益減少

(オーストラリア)

シドニー発

2020年06月01日

オーストラリア統計局(ABS)は5月28日、4回目となる新型コロナウイルスの企業への影響を聞いたアンケート調査の結果を発表した。同調査によると、約7割の企業が新型コロナウイルスの影響によって収益が減少していたことが分かった。

ABSは、5月13日から5月22日までの期間、オーストラリアで事業を行う2,564社を対象にアンケート調査を実施し、1,430社から回答を得た。回答企業の72%は、新型コロナウイルスの影響によって「収益が減少した」と回答しており、また74%は「ビジネスの運営方法を変更した」と回答した。運営方法を変更した企業で、収益が減少したと回答した企業は83%に上り、通常どおりの運営を行っている企業で収益が減少したと回答した割合(37%)の2倍以上となった。運営方法を変更した企業を産業別にみると、情報通信業(96%)、医療(93%)、宿泊・飲食サービス(92%)、教育(91%)の割合が特に高かった。

回答企業の73%は、政府などから提供される支援策にアクセスしており、賃金補助(55%)、その他の政府支援策(38%)、不動産賃貸契約の再交渉(19%)、ローンの返済猶予(16%)などが活用された。また、10社に1社の割合(11%)で追加の資金が必要となっており、銀行や金融機関(57%)、事業主個人の与信枠や貯蓄(26%)、ほかの企業(21%)から資金調達が行われた。

就業者数の減少幅は縮小傾向

ABSは5月19日、オーストラリア国税庁のデータを利用した3回目の調査結果を発表した。3月14日から5月2日までの7週間の間に、オーストラリア国内の就業者数は7.3%減少し、企業が支払った給与総額は5.4%減少した。ただし、前回調査(3月14日~4月18日)と比べると、減少幅は就業者数が0.2ポイント(前回7.5%減)、給与総額が2.8ポイント(同8.2%減)縮小しており、連邦政府による賃金補助制度が奏功したものと見られている。

(住裕美)

(オーストラリア)

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