第1四半期は約39億ドルの貿易黒字、輸入減少が要因

(メキシコ)

メキシコ発

2020年05月08日

メキシコ国立統計地理情報院(INEGI)は4月28日、2020年3月の貿易統計を発表した。第1四半期の輸出は1,086億8,640万ドルで前年同期比0.6%増だったが、輸入は1,047億9,980万ドルで4.6%減少した(添付資料参照)。輸入額の減少により、貿易収支は38億8,700万ドルの黒字となった。特に、3月単月の貿易黒字が33億9,180万ドルと大きく、第1四半期のそれの87.3%を占める。これは、輸出が前年同月比1.6%減の383億9,900万ドル、輸入が6.7%減の350億720万ドルだった結果だ。

第1四半期の石油部門輸出は、前年同期比23.5%減の53億5,570万ドルだった。特に、3月単月の落ち込みが前年同月比47.1%減と著しい。原油価格の急落が響いた。3月のバレル当たりの平均輸出額は29.12ドルで、前月比19.43ドル安、前年同月比29.79ドル安だった。

一方、第1四半期の非石油部門輸出は、前年同期比2.3%増の1,033億3,070万ドルだった。部門別にみると、輸出額の88.5%を占める工業製品は1.6%増と増加を維持した。その主力の自動車も1.8%増の348億4,840万ドルだったが、3月単月では前年同月比5.0%減の126億2,190万ドルとなった。3月の自動車輸出は、米国向けが7.3%減少したことが響いた。一方、米国以外への輸出はドイツ向けが35.5%増だったことから、6.2%増加した。第1四半期の非自動車部門の工業製品輸出は前年同期比1.5%増の613億1,270万ドルだった。工業用機械や食品加工機械が3月単月で、それぞれ前年同月比11.2%、5.5%増加した。

他方、農畜産品の輸出額は第1四半期に前年同月比10.2%増の54億7,220万ドルだった。3月単月では、アボカドが前年同月比56.2%増、トマトが34.7%増、果物が24.3%増と大きく伸長した。

第1四半期の輸入では、石油部門は前年同期比9.9%減の105億8,170万ドルだった。また、非石油部門は資本財、中間財、消費財のいずれも減少し、4.0%減の942億1,810万ドルだった。輸入総額の78.4%を占める中間財は前年同期比3.9%減の821億2,500億ドルだった。資本財は14.3%減の89.億4,150万ドルと大きく落ち込んだ。3月単月でみると、前年同月比18.1%減の27億7,740万ドルで、2018年1月以降で最低のレベルだ。唯一、ガソリンやブタンガス、プロパンガスなど消費財の石油製品は前年同期比6.9%増加した。これは、2019年1月に政府が石油盗難対策としてパイプラインを閉め、ガソリンの輸入を減らした反動と思われる。

業界団体は2020年間輸出額を最大20%減と予測

メキシコ国際産業連盟(COMCE)のフェルナンド・ルイス・ウアルテ部長は、最大の輸出先である米国で国内需要が急減していることから、2020年のメキシコの輸出額は少なくとも17%、最大で20%減少すると見込んでいる(「フォーブス・メキシコ」電子版4月25日)。

(志賀大祐)

(メキシコ)

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