新型コロナはバイエルン州経済により大きな影響、ifo経済研究所が調査

(ドイツ)

ミュンヘン発

2020年05月19日

ドイツのバイエルン州経済・開発・エネルギー省は5月15日、ifo経済研究所に調査委託した新型コロナウイルスによる州経済への影響を発表した。

それによると、バイエルン州はドイツ全体に比べ、新型コロナウイルスの影響をより大きく受けるという。具体的には、経済活動が2カ月間停止したときのドイツ全体への影響を2,550億~4,950億ユーロと試算、バイエルン州はそのうち490億~940億ユーロの影響を受けるとしている。

調査の中でifo経済研究所が4月下旬に州内企業に実施したアンケート調査によると、2020年の売上高の見通しは前年と比較して2割減少するとの回答だった(添付資料表参照)。サービス業がより甚大な影響を受ける(22%減)一方、建設業への影響は比較的限定的だ(13%減)。また、小規模企業(30%減)の見通しの方が大企業(17%減)よりも深刻な結果になった。

これまでに実施した対策として、回答企業の82%が「在宅勤務の活用」を挙げた。そのほか、過半となる58%が「短時間労働給付金制度」を活用しており、製造業ではこの割合が70%に上る。「サプライヤーの変更」と回答した企業は、製造業で8%にとどまった。

ifo経済研究所は効果的な経済政策として、(1)欠損金繰り戻しの拡大、(2)設備投資への加速減価償却の導入、(3)気候変動対策・デジタル化などに的を絞った公共投資の拡大を挙げた。他方、所得税や法人税の減税は景気刺激策としては限定的だが、中長期的にはドイツの企業立地の魅力を高めるとした。

バイエルン州経済・開発・エネルギー省は今回の調査結果と提言を受けて、(1)法人税などの税制改革、(2)デジタル化、(3)インフラ分野などへの投資、(4)グローバル化の推進と必要な製品の州内製造を推進するとしている。

(高塚一)

(ドイツ)

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