豪中銀、1930年代以来で最大のマイナス成長を予測

(オーストラリア)

シドニー発

2020年04月23日

オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)のフィリップ・ロウ総裁は4月21日、今年の経済見通しについて、6月までに失業率が約10%に達し、上期(1~6月期)の国内総生産(GDP)は約10%減少する可能性が高く、1930年代以来で最大のマイナス成長になるという予測を明らかにした。

ロウ総裁は、未曽有の状況下では正確な経済予測は困難とした上で、現在のオーストラリアの状況について、これまで実施されている社会的制限措置により多くの経済活動が制限され、仕事や収入が得られない状況になっており、将来の不確実性が高まり、多くの企業や世帯が投資や支出を抑制していると述べた。

2020年の半ばに近づくにつれて海外渡航を除く社会的制限措置が緩和されていくシナリオを有力としている。今後の経済見通しとして、2020年第2四半期(4~6月)は大きなマイナスとなるものの、第3四半期(7~9月)より回復が始まるとして、このシナリオに基づき景気回復が順調であれば、同年のGDP成長率はマイナス6%となるが、2021年は6~7%に回復すると説明した。

ビジネスが元通りになることは期待すべきでない、とロウ総裁

ロウ総裁は、以前と同じビジネスが早期に戻ることは期待すべきでないとして、しばらくは現在の危機が経済に影響を及ぼすだろう、と述べた。制限措置が緩和されたとしても、感染予防措置の一部が継続されることが予測される。コロナウイルスの流行は企業や人々にショックを与え、人々のマインドセットや生活に変化を強いており、一部のビジネスは失われ、ビジネスモデルの再考が迫られるとした。

(遠藤泰平)

(オーストラリア)

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