2020年夏の電力需要、最大20%減と予測

(英国)

欧州ロシアCIS課

2020年04月27日

英国の系統運用者ナショナル・グリッドESO(National Grid ESO)は4月15日、2020年夏に予想される電力需要の概要をまとめたレポート「Summer Outlook外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。当初は前年夏とほぼ同等と予測されていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、現時点での電力需要の長期的な予測が困難なことから、今回のレポートでは、その影響度合いを大、中、小の3つのシナリオに分けて検討している。影響度合いが小さいシナリオでは、当初予測の4.0%減、影響が大きいシナリオでは19.9%減少する予測結果となった(添付資料表参照)。予測は、住宅や商業、産業の各分野の電力需要がウイルス感染拡大によってどの程度影響を受けるかをシナリオ別に評価、各分野の需要の大きさによる重み付けを行い作成された。

新型コロナウイルス感染拡大の影響は、電力消費者に今までにない行動の変化をもたらし、電力需要にも影響が出ている。自宅待機で人々が家にいる時間が多いため、住宅部門の電力消費が増えている一方で、工場やオフィス、その他産業が閉鎖したことにより、産業、商業部門の電力消費が大幅に減った結果、全体の電力需要は減少している。

英国では、2019年の再生可能エネルギーの年間発電量が119テラワット時(TWh)となり、年間総発電量の36.9%を占めている。ナショナル・グリッド ESOによると、今夏の最大電力需要に対する供給力確保も重要だが、より大きな課題は、最小電力需要時に太陽光、風力の発電が大きい場合の需給バランスの確保だという。

(宮口祐貴)

(英国)

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