感染防止策、在カナダ日系企業は出張自粛や電話・テレビ会議の活用などで対応とのアンケート結果

(カナダ)

トロント発

2020年03月17日

ジェトロが3月11~12日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた対応策について、在カナダ日系企業にアンケート調査を行ったところ(注)、86%の企業が日本からの出張を原則不可としており、74%の企業がカナダから国外への出張を原則不可としていることが分かった。また、35%の企業で在宅勤務を導入しているとの回答があった。

新型コロナウイルスへの対策としては、前述の出張についての制限のほか、カナダ国内の出張についても原則不可との回答が18社(32%)、カナダ国外から帰国した社員・家族に対する行動を制限しているとの回答が37社(65%)、来訪者との面談について制限しているとの回答が28社(49%)、外部イベント、会合への出席を原則不可とする回答が17社(30%)だった。

カナダ国外への出張について認めている場合も、「北米のみ」、「米国のみ」、「カナダの指定する危険レベル2以上の国を除く」など一定の条件を課しているとの回答が多かった。カナダ国外から帰国した社員・家族に対する行動を制限しているとの回答の具体的な内容としては、大半が「感染流行国、カナダの指定する危険レベル2以上の国からの帰国者に14日間の自宅待機を求める」というものだった。

来訪者との面談については約半数の回答が制限しているとのことで、具体的には、「原則来訪を断り、ウェブや電話会議で対応」、「感染流行国、カナダの指定する危険レベル2以上の国からの来訪者の来訪は断っている」、「来訪の連絡があった都度判断する」といった回答が多かった。外部イベント・会合への出席に関し、具体的に条件が課される場合、「参加者が25人程度以上のものは不可」などイベントの参加者数を基準にする例が多かった。

在宅勤務を導入している企業に対象者について聞いたところ、「原則全員」、「感染者、感染が疑われる者」、「感染流行国、カナダの指定する危険レベル2以上の国からの帰国者」との回答が多かった。従業員向けガイドラインの作成を行っている企業は47社(82%)で、参考にしている情報としては、「(連邦や州の)政府機関」、「日本本社、米国統括会社」、「米国疾病予防管理センター(CDC)」などの回答が多かった。

社内会議・集会の開催については制限をしているとの回答が19社(33%)で、「原則電話・テレビ会議を活用」、「不要不急の会議は延期」といった回答のほか、「大人数(25人以上)の会議は禁止」など参加者数で制限をする事例も見られた。

ビジネスへの影響については、30社(53%)が現時点で影響があると回答しており、具体的には「中国・アジアからのサプライチェーンの遅延」、「需要の低下や減速」、「出張などの自粛による取引や商談への影響」などが挙がっている。

なお、本調査実施後の3月13日、カナダ連邦政府はすべての外国への不要不急の渡航を中止、または延期するよう国民に促した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますカナダ公衆衛生庁はすべての外国への渡航に関する健康注意喚起レベルをレベル3「不要不急の渡航を避ける」に指定している。外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

(注)同調査はジェトロ・トロント事務所が3月11日、在カナダ日系企業145社に対し、メールにて協力を依頼し、12日までに57社から回答を得たものを集計した。

(酒井拓司)

(カナダ)

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