新型コロナウイルスの影響で、バーゼルワールドなど国際的イベントが中止や延期に

(スイス)

ジュネーブ発

2020年03月03日

スイスでは、2月25日にイタリアと国境を接するティチーノ州で初の新型コロナウイルス感染例が報告された。以来、ジュネーブ、チューリヒをはじめ各州に感染が広がり、3月1日夕方時点でスイス国内の感染者は24人、疑い例は1,300人以上とされている。スイス連邦は、2月28日に連邦参事会(内閣)会議を行い、1,000人以上の集客を見込むイベントの開催を3月15日まで禁止すると発表した。禁止令は即日発効し、状況によって延長される可能性もある。1,000人未満のイベントの開催は可能だが、事前に州当局と協力してリスクを評価した上で州が開催可否を判断する。

今回の発表を受け、スイスで3月以降に開催される複数の国際的イベントが中止されることになった。3月5~15日に開催予定だった世界5大モーターショーの1つ「ジュネーブ・モーターショー(GIMS)」は急きょ中止を決定した。4月30日~5月5日に開催予定だった世界最大の時計・宝飾品展示会「バーゼルワールド」も2021年1月28日から2月2日に会期を延期すると発表した。なお、4月25~29日に開催予定だった高級時計展示会「ウォッチズ&ワンダーズ」(旧SIHH/通称:ジュネーブサロン)も2月27日に中止を発表していた。2020年は、2019年までは別々の時期に開催されていた、これら2つの時計関連展示会の会期が初めて連続したスケジュールになったことで、海外からのバイヤーが趣向の異なる両展示会に参加しやすくなることが期待されていたが、その機会が失われた。これまで来場を招待者に限っていたSIHHは「ウォッチズ&ワンダーズ」と名前を変え、招待者限定の展示会に加えて、ジュネーブ市内各地でテーマ別展示や時計関連ツアーなどを行うパートを新たに設け、より一般消費者に開かれた新しい形式での開催が予定されていた。バーゼルワールドは直前まで開催の意向を示していたが、今回の発表を受けて延期せざるを得なくなった。

海外との往来に関しては、スイス航空およびルフトハンザ航空は、中国向けの全便(北京、上海、南京、瀋陽、青島)の運航停止を3月28日まで延長、香港向けについては3月中の便数を削減すると発表した。また、地元紙「トリビュン・ド・ジュネーブ」は2月28日、ジュネーブをハブとするLCCイージージェットが、北イタリア向けのフライトをキャンセルする予定があると報じた。

(城倉ふみ、マリオ・マルケジニ)

(スイス)

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