新型コロナウイルス対抗措置として、新たな支援パッケージを発表
(イタリア)
ミラノ発
2020年03月23日
イタリア政府は3月17日、新型コロナウイルス感染拡大への対応策として、新たな暫定措置令を官報に掲載した。同措置令は、国民健康保険サービスの強化、および家族・労働者・企業の経済的支援を目的としたもので「クーラ・イタリア」(イタリアの治癒)と名付けられている。支援内容は4本の柱から成り(2020年3月13日記事参照)、主な内容は以下の通り。
(1)国民健康保険サービス・医療面での強化(32億ユーロ)
- 国民健康保険サービス従事者2万人の雇用の実施。
- 集中治療用の病床の増加に向けた財政支援。また民営の施設についても、医療スタッフ、病室および必要な医療機器の整備を支援。
(2)労働者の就労・所得保護(104億ユーロ)
- 労働者の雇用や所得を保護すべく、全ての生産部門の従業員を対象に、特例の給与補助金庫(Cassa Integrazione in Deroga)からの給付を可能にする。新型コロナウイルスの影響により活動を縮小をしている事業主は、「Covid-19」を理由として、従業員の給与支払いに際し最長9週間、同金庫からの給付を活用できる。
- 自営業者、観光などにおける季節労働者、観劇関連の労働者、農業従事者などに対し、月当たり600ユーロの給付金を最長で3カ月間付与する。
(3)家計・企業に対する資金繰りの支援(48億ユーロ)
- 零細、中小企業に対して、9月30日までに返済期限を迎える借り入れの返済期日を同日まで引き延ばす
- (経済開発省が実施している)中小企業に向けた「保証ファンド」を積み増し、10億ユーロまで強化する。
(4)納税の支払い保留(24億ユーロ)
- 感染拡大により特に大きな影響を受けた産業に対し、3月及び4月分従業員の社会保険料や所得税などの納税の支払い停止を認める。該当するセクターは、観光用ホテル、旅客輸送、飲食(レストラン、カフェ)、文化(映画館、劇場)、スポーツなど。
なお、ロベルト・グアルティエーリ経済・財務相は、4月に新たな支援パッケージを打ち出す可能性を示唆。それにより、今回の措置令の一部は効力が延長されたり、また経済復興のために新たな措置が取られたりする可能性があるとしている。
イタリアは、欧州の中でも特に新型コロナウイルスによる被害が甚大だ。そんな中、パスタ等の大手食品メーカーのバリラグループは200万ユーロ超を医療機関に寄付、また大手銀行のインテーザ・サンパオロも1億ユーロ超の寄付を表明するなど、企業の間では支援の輪が広がりつつある。
(山崎杏奈)
(イタリア)
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