国境閉鎖でコロナウイルス対策を強化、自己隔離対象範囲も拡大

(ロシア、欧州)

モスクワ発

2020年03月16日

ロシア政府が国内でのコロナウイルス対策を強化している。ミハイル・ミシュスチン首相は3月14日、連邦政府決定第622-r号(2020年3月14日付)に署名。これにより、2020年3月15日午前0時(モスクワ時間)からムルマンスク州におけるノルウェーとの、カリーニングラード州におけるポーランドとの陸上国境通過ポイントでの外国人(注)の越境が一時的に停止された。

また同首相を議長として同日開催されたコロナウイルス対策調整評議会では、a.3月16日からのEU諸国およびスイス、ノルウェーとの間の航空機による移動の制限、b.政府職員の海外出張の制限、c.全国規模での大規模イベント(ビジネス関係を含む)自粛を決定した。ミシュスチン首相は「先手を打って予防することが肝要だ」とこれらの措置の導入理由を説明した。

プーチン大統領は3月15日、国家評議会の下部組織としてコロナウイルス感染拡大対策ワーキンググループの設立に関する大統領指示に署名。モスクワ市のセルゲイ・ソビャニン市長をグループの長に指名した。同グループにはアンドレイ・ベロウソフ第1副首相、タチヤナ・ゴリコワ副首相などコロナウイルス対策に関係する政権幹部のほか、ウラジミル・ブラビン連邦税関局長官、セルゲイ・ダンクベルト連邦動植物検疫監督局(ロスセリホズナドゾル)長官など検査・監督機関の長が名を連ねる。関連機関が一体となり、地方組織を動員しつつウイルスの感染拡大が懸念される地域での対策を強化する。

地方でも対策が強化されている。モスクワ市などに続き、ロシア北西部でも不特定多数が一堂に会するイベントが禁止となった。モスクワ市のソビャニン市長は3月14日、モスクワ市長令第-UM20号「3月5日付市長令第12-UM号の変更について」について署名。欧州の主要感染国渡航者のみならず、それら対象者の同居人など渡航者の自己隔離期間中に接触があった者も同様に14日間の自己隔離が義務づけられることとなった。また企業に対しては、従業員が自己隔離対象となった場合には出社を認めてはならないとした。

(注)ベラルーシ国民、外交団、ロシアの長期滞在許可取得者を除く。

(梅津哲也)

(ロシア、欧州)

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