ダイヤモンド電機、日EU・EPA利用でコスト削減

(日本、EU、ハンガリー)

欧州ロシアCIS課

2020年03月03日

1937年4月に自動車用点火コイルメーカーとして創業したダイヤモンド電機(本社:大阪市淀川区)は2018年にホールディングス体制に移行しダイヤモンドエレクトリックホールディングスを設立、「車と家をものづくりでつなぐ」を事業の基本コンセプトに、自動車機器事業、太陽光発電蓄電システム事業、住設用電子機器事業を展開、2000年9月にハンガリーのエステルゴム市にダイヤモンド電機ハンガリーを設立している。ジェトロは2020年2月11日、同社ハンガリー拠点ビジネス・プランニング・マネージャーの三代憲氏に、日EU経済連携協定(EPA)の活用状況について聞いた。

三代氏によれば、ハンガリーでは、ガソリンエンジンの燃焼工程を制御する「点火コイル」から事業が始まり、車載電装・電子機器、エアコン用のコントロール基板の3事業を行っているという。リードタイムを考えると、調達に2カ月かかるため、基本的には地産地消でハンガリーでの現地調達の部材が増えてきているが、化学系の部材など、日本でしか手に入らないものなどを中心に日本から輸入している部分がある。具体的には、点火コイルに使用するエポキシ樹脂の日本からの輸入などにおいて、日EU・EPAによる特恵関税を利用している。エポキシ樹脂の関税率は6.5%だが、2019年2月の発効で関税率が即時撤廃されたため、コストダウンを図るため、発効当初から関税の減免の適用を受けている。販売先は世界規模のカーメーカーが中心なため、価格低下が販路開拓にすぐにつながるわけではないが、部材の調達コスト削減という意味でメリットが大きいという。

写真 矩形(くけい)型点火コイル(ダイヤモンド電機提供)

矩形(くけい)型点火コイル(ダイヤモンド電機提供)

日EU・EPAの下での原産性の申告については、本社側で関税分類変更基準、もしくは付加価値基準の適用しやすい方で書類を作成している。ハンガリー側ではパートナーの物流企業と密に連絡を取り、同EPA適用のための準備を進めたという。三代氏は、こうした専門の物流業者と連携することで迅速に準備が進められたことを強調したほか、日系企業が多く進出しているエステルゴムでは、税務当局の日EU・EPAへの関心と理解度が高かったこともあり、手続きが円滑に進んだ一面もある点を指摘している。

(田中晋)

(日本、EU、ハンガリー)

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