ジェトロが新型コロナウイルス対策セミナー開催、各国政府の対応策に注意促す
(南アフリカ共和国、アフリカ)
ヨハネスブルク発
2020年03月13日
ジェトロは3月8日、南アフリカ共和国日本商工会(CCIJ)会員企業向けに、新型コロナウイルス対策セミナーを開催した。日系企業関係者を中心に26人が参加した。
講師を務めた医療・セキュリティーサービス大手インターナショナルSOSのセキュリティーマネジャーのコーシャー・アブラハム氏は、中国などの感染流行国との間で人の往来が多いエチオピアがアフリカの中で最も感染拡大のリスクが高いと説明した。他方、南アとエジプト、アルジェリア、セネガルは域内で最も感染予防に努めている国だとした。また、旅行者に対するスクリーニングや、査証の発給条件の変更有無などは各国で異なるため、出張の際には注意が必要だとした。
3月10日時点で世界保健機関(WHO)が感染を確認しているのは、アフリカ54カ国のうち、エジプト(59件)、アルジェリア(20件)、南ア(7件)を含む9カ国のみだ。ただし、現時点で域内の感染報告数が他地域に比べて少ない背景には、アフリカ各国での医療・検査態勢の問題や、政治的な影響により公表されていない可能性があることも指摘した。
また、アブラハム氏は、アフリカでも新型コロナウイルスの感染をアジア人が広げているという偏見を持つ人が多いと説明した。フェイクニュースなどの誤った情報の拡散がアジア人の排斥運動につながることもありうるため、在留邦人も域内の出張のみならず日常生活でも注意が必要だと指摘した。同氏によると、中国での感染拡大以降、ヨハネスブルク市内の中華街も風評被害により客足が落ちている。
セミナー参加者からは、アフリカではマラリアやエボラ出血熱など、新型コロナウイルス以外の感染症も多く、医療従事者が新型コロナウイルスと特定できていない可能性もあるため、現在発表されている感染者の統計をうのみにはできないので不安だというコメントが寄せられた。
(高橋史)
(南アフリカ共和国、アフリカ)
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